スタッフコラム

「企業で使う、オープンソース」〜第1回 オープンソースの動向〜

株式会社 野村総合研究所
オープンソースソリューションセンター 寺田雄一

[更新:2007/01/15]

オープンソースとは

オープンソースとは、ソースコードが公開されているソフトウェアのことで、基本的には無償で利用することが可能である。近年、その機能、性能、信頼性といったソフトウェアの品質が、商用製品と比較しても遜色ないレベルになってきたことから、企業の業務システム構築の際の重要なコンポーネントとして注目されている。オープンソースのOSである「Linux(リナックス)」や、Webサーバの「Apache(アパッチ)」が有名だが、Webアプリケーションサーバやデータベースなど、様々なカテゴリでオープンソースが登場し、活用が進んでいる。現在、全てオープンソースでシステムを構築することも可能になってきている。(図1)

図1:オープンソースをフル活用したシステム構成の例
図1:オープンソースをフル活用したシステム構成の例

また、弊社のオープンソースサポートサービス「OpenStandia™(オープンスタンディア)」をはじめとして、オープンソースの保守サポートサービスを提供する企業が増えてきたことも、オープンソースの普及を促進している。

業務システムでの活用が進む、オープンソース

従来オープンソースは、メールサーバやホームページ用のWebサーバなど、いわゆる「エッジ系システム」での利用が多かった。しかし、アプリケーションサーバの「Tomcat」、RDMBSの「MySQL」や「PostgreSQL」、開発フレームワークの「Struts」などの品質向上、及び普及によって、業務システムにおける活用が一般的になってきている。 弊社でも、セブンドリーム・ドットコム様のECサイト(http://www.7dream.com)の再構築事例(http://www.nri.com/jp/nriss/solution/7dc/story01.html)や、リッチクライアントによる証券オンライントレードシステムの構築事例(http://www.nri.com/jp/opinion/it_solution/2006/pdf/IT20060806.pdf)などをはじめ、多数の実績があり、今後も増加傾向にある。

このように、オープンソースの活用領域は、OSからミドルウェアにシフトしている。今後はオープンソースの業務アプリケーションなども活用されていくことが予想される。(図2)

図2:オープンソースの活用領域はミドルウェアへ
図2:オープンソースの活用領域はミドルウェアへ

オープンソースのメリット

企業がオープンソースを活用するメリットな何であろう。まずあげられるのは、コストメリットである。オープンソースは、ライセンス費がかからないため、ソフトウェアの初期コストはゼロである。
オープンソースの保守サポートサービスを活用したとしても、5年間コストで比較して大幅なコスト削減が可能である。(図3)

図3:商用製品とオープンソースとのコスト比較(WebAPサーバ3台、DBサーバ2台)
図3:商用製品とオープンソースとのコスト比較(WebAPサーバ3台、DBサーバ2台)

次に、オープンソースがデファクトスタンダードになっている、ということがあげられる。Webサーバの「Apache」、アプリケーションサーバの「Tomcat」、開発フレームワークの「Struts」、ORマッパーの「Hibernate」、データベースの「MySQL」や「PostgreSQL」などが、ワールドワイドで見ても一般的に使われている。
弊社のアンケートでも、「コストを削減したい」という理由の次に、「デファクトスタンダードなソフトウェアを使用したい」という理由による、オープンソース活用ニーズが多い。(図4)

図4:オープンソースを導入する理由(NRIによるアンケート結果より)
図4:オープンソースを導入する理由(NRIによるアンケート結果より)

次回予告

次回は、業務システムにおけるオープンソースの課題と、オープンソースサポートサービス「OpenStandia™(オープンスタンディア)」によるその解決について、ご紹介する。

株式会社 野村総合研究所 オープンソースソリューションセンター 寺田雄一
株式会社 野村総合研究所
オープンソースソリューションセンター 寺田雄一

NRIオープンソースソリューションセンター(OSSC)のマネージャー。
2003年にOSSCを立ち上げ、複数のOSSの組み合わせを事前に検証したOSS基盤を提唱し、OpenStandia™パッケージを開発。

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