バージョンアップ情報
MariaDB情報
MariaDBとは
MariaDB Serverは、世界中で非常に人気のあるデータベースサーバーの1つです。MySQLの元開発者によって作られ、オープンソースであることが保証されています。主なユーザーにはWikipedia、WordPress.com、Googleなども含まれます。
MariaDB Serverは、データを構造化して保存することができるため、銀行業務からウェブサイトまで幅広い用途で使用されます。当初はMySQLの強化版かつ互換性を持つ代替品として設計されました。しかし、現在は、その高速性、拡張性、堅牢性、そしてストレージエンジンやプラグインといった豊富なエコシステムにより、非常に多様なユースケースに適応できるデータベースとして利用されています。
MariaDB Serverはオープンソースのリレーショナルデータベースソフトウェアとして開発されており、SQLを使用してデータにアクセスします。また、バージョン10.2以降では、GIS(地理情報システム)やJSON(JavaScript Object Notation)の機能も追加されています。
カテゴリ |
MariaDB 11 |
MySQL 8 |
---|---|---|
ストレージエンジン |
MySQL 8がサポートするストレージエンジンの他に、ColumnStore, MyRocks, Aria, S3 Storage Engine, CONNECT, Spiderなどをサポート。 |
標準的なInnoDB、MyISAM、MEMORY、CSVなどをサポート。 |
JSONサポート |
JSONデータを文字列として保存。 |
JSONデータをバイナリ形式で保存し、効率的なアクセスを提供。 |
クラスタリング |
Galera Clusterが標準で統合されている。 |
標準ではクラスタリング機能は含まれず、MySQL Clusterなど別途設定が必要。 |
バージョニング |
システムバージョニングやアプリケーションタイム期間をサポート(バイテンポラル)。 |
標準ではサポートされていない。 |
オプティマイザ |
MariaDB独自のオプティマイザ改善が多数含まれる。 |
MySQLのオプティマイザを使用。 |
セキュリティ |
SUPER権限を細分化し、より細かい制御が可能。 |
SUPER権限は細分化されていない。 |
ライセンス |
完全なオープンソース(GPL)。 |
オープンソースだが、一部の機能は商用ライセンスが必要な場合がある。 |
新しいデータ型 |
UUID, INET6, INET4などのデータ型をサポート。 |
標準的なデータ型のみ。 |
JSON関数 |
JSON関数が豊富だが、MySQLほど最適化されていない場合がある。 |
JSON関数が豊富で、効率的な操作が可能。 |
その他の機能 |
CREATE OR REPLACE構文、DELETE ... RETURNINGなどをサポート。 |
一部の構文はサポートされていない。 |
主な特徴
MariaDBは以下の特徴があります。
多くのストレージエンジンを提供 |
標準のMyISAM、BLACKHOLE、CSV、MEMORY、 ARCHIVE、MERGE ストレージエンジンに加え、以下のものを含んでいます。
|
---|---|
性能改善の実施 |
主なものでは、以下のような性能改善が実施されています。
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機能拡張と新機能 |
主なものでは以下のような機能拡張および、新機能が加わっています。
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テスト方法の改良 |
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少ない警告やバグ |
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真のオープンソース |
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メリット・デメリット
メリット、必要性
1.オープンソースであること
- 無償で利用でき、ライセンス費用を抑えられます。
- コミュニティによる活発な開発が行われており、継続的な機能改善やセキュリティアップデートが期待できます。
- ソースコードが公開されているため、必要に応じてカスタマイズが可能です。
2.MySQLとの互換性
- MySQLとの互換性が高く、MySQLから容易に移行できます。
- 既存のMySQLアプリケーションをほとんど変更せずに利用できます。
3.高性能
- 大規模なデータ処理や高負荷なWebアプリケーションなど、高いパフォーマンスが要求されるシステムに適しています。
4.初心者向けの使いやすさ
- MySQLと比較して、パフォーマンスが最適化されており、高速なデータ処理が可能です。
- 特に、大規模なデータ処理や高負荷な環境での性能に優れています。
5.豊富な機能
- 多様なストレージエンジンをサポートしており、用途に応じた最適な選択が可能です。
- セキュリティ機能が強化されており、データの安全性を確保できます。
- JSONデータ型等の現代的なデータ型をサポート。
デメリット・注意点・課題
1.移行における注意点
- MySQLとの完全な互換性があるわけではないため、移行前に十分な検証が必要です。
- 一部の機能や構文にMySQLとの違いがあります。
2.大規模システムでの課題
- 大規模なシステムでは、パフォーマンスチューニングや運用管理が複雑になることがあります。
- 専用のレプリケーションサーバーはありません。
動作環境
以下のバイナリが提供されており、対応するOS/CPUは以下のとおりです。
バイナリパッケージ |
OS/CPU |
---|---|
tar.gzファイル |
ソースコード |
MSI パッケージ |
Windows(64ビット) |
ZIP ファイル |
Windows(64ビット) |
tar.gzファイル |
Linux(64ビット) |
DEBパッケージ |
Debian/Ubuntu |
RPM パッケージ |
RedHat Enterprise |
pacman パッケージ |
Arch Linux |
※MariaDBは主要なLinuxディストリビュータの標準レポジトリで利用可能なので、OSのパッケージマネージャから、mariadb-server を探すだけで利用可能です。
MariaDBのライセンス
MariaDBのライセンスは、GPLのバージョン2によりリリースされています。MariaDBのクライアントライブラリは、クローズドソースのソフトウェアとの連携を可能とするために、LGPLによりリリースされています。
MySQLとの互換性
MySQLとMariaDBのバージョンの互換性は以下のとおりとなります。
MySQL バージョン |
MariaDB バージョン |
---|---|
5.1 |
5.1、5.2、5.3 |
5.5 |
5.5、10.0 |
5.6 |
10.0、10.1、10.2、10.3、10.4 |
5.7 |
10.2、10.3、10.4 |
8.0 |
10.4、10.5、10.6、10.7、10.8 |
互換性があるという意味は、以下のとおりです。
- データやテーブル定義ファイルにバイナリ互換性がある
- 全てのクライアントAPIや、プロトコルや構造が、同一
- 全てのファイル名、バイナリ、パス、ポート、ソケットなどは同じ
- 全てのMySQLコネクタ(PHP、Perl、Python、Java、.NET、MyODBC、Ruby、MySQL Cコネクタなど)は、MariaDBでも変更なく動作する
- mysql-client パッケージは、MariaDBサーバでも動作する
- 共有クライアントライブラリはMySQLのクライアントライブラリとバイナリ互換がある
上記に記載したとおり、基本的には互換性が保障されていますが、いくつかの細かい点で非互換な部分が存在します。MariaDBとMySQLの各バージョンの互換性に関しては、以下のページを参照してください。
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参考情報
オープンソース年間サポートサービス
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サポートしているOSSは下記ページをご参照ください。
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ポストグレエスキューエル。多くのOS・プラットフォームで稼動するオープンソースのリレーションナルデータベース管理システムです。
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