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FastAPI情報
FastAPIとは
FastAPIは、PythonでAPIを構築するためのモダンなWebアプリケーションのフレームワークです。非同期処理(async/await)をネイティブにサポートし、高速なリクエスト処理が可能な点が特徴です。Pythonの型ヒントを活用することで、コードの安全性を向上させ、開発者の負担を軽減します。また、Swagger UIやReDocを標準で備えており、APIドキュメントを自動生成できるため、開発とテストの効率が向上します。軽量でシンプルな設計ながら、OAuth 2.0による認可やデータのバリデーションなどの高度な機能も提供し、マイクロサービスや機械学習アプリケーションのバックエンドとしても適しています。DjangoやFlaskと比較して、より高い性能と柔軟性を持つため、近年人気が急上昇しています。

主な特徴
FastAPIの主な特徴は以下の通りです。
- 型ヒントによるデータのバリデーションとシリアライズ: Pydanticを活用し、リクエストやレスポンスのデータ型を宣言するだけで、自動的なデータのバリデーションとシリアライズが行われます。これにより、型に関するエラーを早期に発見し、安全なAPIを構築できます。
- 自動的なAPIドキュメント生成: OpenAPIおよびJSON Schemaに準拠したAPIドキュメントを自動生成します。Swagger UIやReDocなどのツールと連携し、インタラクティブなAPIドキュメントを簡単に提供できます。
- 依存性注入 (Dependency Injection): 柔軟で強力な依存性注入システムを提供します。これにより、コードの再利用性、テスト容易性、保守性が向上します。セキュリティ、データベース接続、認証などの処理を簡単に組み込むことができます。
- 非同期処理のサポート: asyncとawaitキーワードを使用して、ノンブロッキングな非同期処理を簡単に記述できます。これにより、I/O待ちが発生する処理(データベースアクセス、外部API呼び出しなど)を効率的に処理し、高いスケーラビリティを実現します。
- 多様な機能: リクエストバリデーション、データシリアライズ、認証・認可、CORS(Cross-Origin Resource Sharing)、GZipなどのミドルウェア、WebSocketのサポートなど、Web API開発に必要な多くの機能が標準で提供されています。
- Starletteとの統合: 高速なASGIフレームワークであるStarletteを基盤としており、高い性能とWebSocketのサポートを継承しています。
- Pydanticとの統合: データのバリデーションとシリアライズにPydanticを利用しており、型ヒントを最大限に活用した堅牢なデータ処理を実現します。
メリット・デメリット
メリット・必要性
- 高い開発効率: 型ヒントによる自動補完、エラーチェック、ドキュメント生成により、開発時間を大幅に短縮できます。
- 優れた性能: Starletteを基盤とし、非同期処理をサポートしているため、高性能なAPIを構築できます。
- 堅牢なAPI: Pydanticによる厳格なデータのバリデーションにより、信頼性の高いAPIを開発できます。
- 自動生成されるAPIドキュメント: OpenAPIに準拠したドキュメントが自動生成されるため、APIの理解と利用が容易になります。
- モダンなPythonの活用: Pythonの最新機能(型ヒント、async/await)を最大限に活用できます。
- 豊富な機能: Web API開発に必要な多くの機能が標準で提供されています。
- 活発なコミュニティ: 比較的新しいフレームワークですが、活発なコミュニティによるサポートや豊富な情報が期待できます。
デメリット・注意点・課題
- 比較的新しいフレームワーク: FlaskやDjangoなどの成熟したフレームワークと比較すると、歴史が浅いため、大規模な実績やサードパーティ製のライブラリの豊富さでは劣る可能性があります。
- 学習コスト: 型ヒントや非同期処理など、モダンなPythonの知識が必要となる場合があります。
- ASGIサーバーが必要: 実行にはASGIサーバー(Uvicorn、Hypercornなど)が必要であり、WSGIサーバーのみに対応する環境では利用できません。
- 日本語の情報: 英語の情報に比べると、日本語の情報はまだ少ないかもしれません。
類似プロダクト
FastAPIと類似のWeb APIフレームワークとしては、以下のようなものが挙げられます。
- Flask: 軽量で柔軟なマイクロフレームワーク。シンプルさを重視する開発者に人気があります。拡張性が高く、必要な機能を自分で選択して追加できます。
- Django: 高機能なフルスタックフレームワーク。ORM、管理画面、テンプレートエンジンなど、Webアプリケーション開発に必要な多くの機能が標準で提供されています。大規模なアプリケーション開発に適しています。
- Starlette: FastAPIの基盤となっているASGIフレームワーク。軽量で高性能であり、WebSocketやGraphQLのサポートも備えています。
- Sanic: 高速なASGIフレームワーク。性能を重視する開発者に人気があります。
- Tornado: 非同期ネットワークライブラリおよびWebフレームワーク。リアルタイムWebアプリケーションの開発に適しています。
FastAPIは、これらのフレームワークの良い点を組み合わせ、モダンなPythonの機能を活用することで、高速性と開発効率のバランスの取れた選択肢となっています。特に、APIファーストな開発やマイクロサービス構築において、そのメリットが活かされます。
動作環境
FastAPIの動作に必要な主な環境は以下の通りです。
- Python: 3.8以上
- ASGIサーバー: Uvicorn(推奨)、Hypercornなど
- Pydantic: データのバリデーションとシリアライズに必要
- Starlette: FastAPIの基盤
構成によっては以下のPythonライブラリも必要になります。
- SQLAlchemy: データベース操作
- Databases: 非同期データベース操作
- Jinja2: テンプレートエンジン
- python-multipart: フォームデータの処理
- requests: HTTPクライアント
- その他、プロジェクトに必要なライブラリ
これらの依存関係は、通常pipコマンドを使用して簡単にインストールできます。
FastAPIのライセンス
FastAPIのライセンスは、MITライセンスです。 MITライセンスは、X Window System (X11)などのソフトウェアに適用されていることから、X11ライセンス、またはXライセンスとも表記されます。 MITライセンスは、数あるソフトウェアライセンスの中で最も制約が少なく、ソースコードの無償の使用のほか、改変、再配布することも認められています。
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