バージョンアップ情報
Grafana Mimir情報
Grafana Mimirとは
Grafana Mimirは、Grafana Labsがオープンソースとして開発・提供している、高速かつ大規模にスケール可能なメトリクスストアです。主にPrometheus形式のメトリクスを取り扱い、大量のデータを分散して保存・処理することに特化しています。
もともとPrometheusそのものはシンプルかつ単一プロセスで動作するため、一定規模を超えると保存期間の長いデータや大規模環境における可用性・拡張性の問題が顕著になってきます。Grafana Mimirは、そのような課題に対して「高可用」「大規模スケーラビリティ」「マルチテナントサポート」などを提供する次世代のメトリクス基盤です。
主な特徴
高いスケーラビリティと可用性
大規模環境におけるメトリクスデータの収集・管理を想定した設計がなされており、水平方向へのスケールアウトが容易です。多数のノードを組み合わせることで、TB〜PBレベルのメトリクスデータを扱えます。
マルチテナント機能
複数のチーム・サービスが共通基盤として使用しても、お互いのデータが干渉しないマルチテナント設計がされています。テナントごとに論理的に分離され、リソース制御も柔軟に行えます。
Prometheus互換のAPI・メトリクス形式
Prometheusのリモートストレージとして利用できるため、既存のPrometheusエコシステム(GrafanaやAlertmanagerなど)との互換性を損なわずに拡張可能です。
メリット・デメリット
メリット・必要性
・大規模メトリクス基盤に対応可能
大量のメトリクスデータを処理でき、ビジネスがスケールアップした際にも耐えられる基盤を用意できます。
・高可用性の向上
ノード冗長構成を取りやすいため、部分的な障害が発生してもサービス全体を止めずにメトリクスを収集・閲覧できます。
・集中管理と運用コスト削減
従来は複数のPrometheusインスタンスを管理していた場合でも、Grafana Mimirを中央の集約ストレージとすることで管理・運用が一元化できます。
デメリット・注意点・課題
・構築の複雑さ
単一のPrometheusと比べると、分散ストレージや多数のコンポーネントを含むため、インフラ構築が複雑になります。管理するノード数も増えるためオペレーションが難しくなる可能性があります。
・運用コスト
大規模にスケーリングするメリットがある一方で、リソース使用量(ストレージ、メモリ、ネットワーク)が増加します。インフラコストとのバランスを検討する必要があります。
ユースケース
複数チーム・サービスの共通モニタリング基盤
各チームが個別にPrometheusを立ち上げる代わりに、共通のGrafana Mimirクラスタを利用することで、運用コストを抑えつつデータを一元管理できます。
大規模なマイクロサービス環境
Kubernetes上の多数のマイクロサービスや大規模なコンテナ環境で、高スケールのメトリクス管理が必要な場面に向いています。
長期間のメトリクス保管
監査や過去データ分析のために長期的にメトリクスを保存したい場合に、大容量ストレージと分散処理が活かされます。
動作環境
Grafana Mimir は、Linux 環境で動作します。Docker を利用したインストールが推奨されています。また、オンプレミスでもコンテナ実行環境さえあれば導入可能です。
Grafana Mimirのライセンス
Grafana Mimir は、AGPLv3 ライセンスで公開されています。
オープンソース年間サポートサービス
OpenStandiaではOSSを安心してご利用いただけるように、オープンソース年間サポートサービスをご提供しております。
サポートしているOSSは下記ページをご参照ください。
関連OSS
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サポート対象
Prometheus
プロメテウス。GO言語で書かれたオープンソースのモニタリングツールです。
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サポート対象
Grafana
グラファナ。Grafana Labs社が開発したデータ可視化ツールです。