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Ollama

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Ollama情報

Ollama情報更新日:2025/11/11

Ollamaとは

 OllamaはLlama 3、Mistral、Gemma、Phi-3といった主要なオープンソースの大規模言語モデルを個人や企業のローカルコンピュータ(macOS, Windows, Linux)上で簡単にセットアップし、実行するためのローカルLLMフレームワークです。

 従来、ローカル環境でLLMを実行するには環境や目的に合ったモデルの入手、推論プログラムの開発/ビルド/インストール 、推論実行用GPUライブラリのセットアップ等々を自前で行う必要がありました。Ollamaはこれらのプロセスを大幅に簡略化し、Dockerコンテナを扱うような手軽さでLLMを管理・実行できることを目指しています。

 ターミナル(CLI)からの簡単なコマンド操作の他、REST API経由でアプリケーションにLLMの機能を組み込むことも可能です。また、macOSやWindows版にはGUIアプリケーションも提供されています。

 OllamaはOllama社というアメリカのスタートアップ企業が2023年に開発を始め、その後同年10月にDocker版イメージをリリース。2024年1月にはPython / JavaScript 用クライアントライブラリを公開、2月にはWindowsにネイティブ対応。また、2025年7月にはGUIアプリケーションを公開するなど順調に開発が進められています。

ソースコードはGitHub上で公開されており、同社を中心に管理、運営しています。

主な特徴

簡単なセットアップとマルチプラットフォーム対応

 Ollamaの最大の特徴の一つはその導入の手軽さです。macOS、Windows、そしてLinux向けにネイティブインストーラーやインストールスクリプトが提供されており、幅広い開発環境をサポートしています。

 インストールプロセスはワンクリックまたは単一のコマンドで完了するように設計されており、NVIDIAやAMDのGPUといった利用可能なハードウェアを自動的に検出します。さらに公式のDockerイメージも提供されており、コンテナ環境での利用も容易です。

豊富なモデルライブラリ

 Ollamaは厳選されたオープンソースモデルのライブラリを管理することができます。このライブラリには、Meta社のLlama、Google社のGemma 3といった主要な研究機関のモデルが含まれています。また、コーディングに特化したCode Llamaや画像とテキストを扱うマルチモーダルモデルのLLaVAなど、特定のタスクに最適化されたモデルも利用可能です。

 モデルのダウンロードは ollama pull というシンプルなコマンドで行え、モデルの更新時には差分のみをダウンロードするため、効率的に管理できます。

強力なコマンドラインインターフェース (CLI)

 CLIはOllamaの核となるインターフェースであり、モデルのライフサイクル全体を管理するためのコマンド群を提供します。これらのコマンドはDockerの操作に類似しており、多くのITエンジニアにとって直感的で馴染みやすいものとなっています。

  • ollama run <model_name>: モデルが存在しない場合は自動的にダウンロードし、対話型のチャットセッションを開始します。"""を用いた複数行入力や、ファイルの内容を引数として渡すこともサポートしています。
  • ollama pull <model_name>: ライブラリからモデルをダウンロードします。
  • ollama list: ローカルに保存されているモデルを一覧表示します。
  • ollama rm <model_name>: ローカルのモデルを削除します。
  • ollama create <model_name> -f <Modelfile>: Modelfile (モデルの詳細を定義したファイル) からカスタムモデルを作成します。
  • ollama cp <source> <destination>: モデルをコピーします。カスタマイズ前のバージョンをバックアップする際に便利です。

GUIプログラムの提供 (macOS,Windowsのみ)

 クラウドベースのLLMサービスと同等の直感的なGUIを提供しており、CLI操作に不慣れなユーザーでも簡単に利用できます。具体的には、プログラム起動後にプロンプト入力画面が表示され、ユーザーは入力欄にプロンプトを入力するだけでLLMを実行可能です。なお、利用するモデルはドロップダウンリストで選択可能で、モデルの初回利用時に自動でダウンロードされます。

図:Ollama(GUIアプリケーション)の画面 (「Ollamaとは何ですか?」とプロンプト入力した例)
図:Ollama(GUIアプリケーション)の画面 (「Ollamaとは何ですか?」とプロンプト入力した例)

アプリケーション統合を容易にするAPIとライブラリ

 Ollamaはローカルマシン上でREST APIサーバ(デフォルトは localhost:11434)を起動し、テキスト生成、チャット、埋め込みベクトル生成などのためのエンドポイントを提供します。このAPIはOpenAIのAPIフォーマットとの互換性を意図して設計されており、開発者は既存のアプリケーションのコードを最小限の変更で、クラウドベースのモデルからローカルモデルへ切り替えることができます。

メリット・デメリット

メリット・必要性

  • データプライバシーとセキュリティ
     すべての処理がローカルで完結するため、個人情報、企業のソースコード、機密性の高いビジネス文書などのデータが外部に送信されることはなく、安心して使用することができます。
  • コスト効率
     Ollama自体とその実行時に使われるオープンソースモデルは無料で利用できます。主なコストはハードウェアへの初期投資のみです。大量または継続的な利用が想定される場合、クラウドAPIのトークンごとの従量課金と比較して、長期的には大幅なコスト削減につながります。
  • オフラインでの利用
     一度モデルをダウンロードすればインターネット接続なしでLLMを実行できます。これにより通信環境が不安定な場所での利用やネットワーク障害時における継続運用が可能です。
  • 迅速なプロトタイピング
     Ollamaに内蔵されたAPIサーバを使うことで開発者はアプリケーションのプロトタイプにLLM機能を素早く組み込めます。その結果、AIアプリケーションの開発を効率的に進めることが可能です。

デメリット・注意点・課題

  • 高いハードウェア要件
     LLMの実行はリソースを大量に消費します。OllamaはCPUのみでも動作しますが、快適な応答速度を得るためには高性能なGPUと十分なメモリを搭載した高性能なマシンが必要となります。
  • パフォーマンスとスケーラビリティの限界
     単一ユーザー向けの対話型アプリケーションに最適化されたOllamaの設計では、多数のユーザーからの同時リクエストを処理するような、高スループットが求められる本番環境においては、GPU利用率の低下やパフォーマンスの限界につながる可能性があります。
  • 抽象化と詳細制御のトレードオフ
     Ollamaはシンプルさが魅力である反面、詳細な制御は得意でありません。たとえば、llama.cppが実装しているGPUの手動割り当てのような低レイヤー操作や高度な量子化パラメータの調整、といったパフォーマンスを極限まで引き出すための詳細な設定ができません。

類似プロダクト

プロダクト名

特徴/差異点

LM Studio

ローカルLLM用GUIツール。特に統合GPU(Integrated GPU)や小型PC/ミニPC上での軽量モデル動作に強みあり。Windows+統合GPUのサポートにおいてOllamaよりも使いやすいとの評価もある。

Llama.cpp

ローカルLLM用開発者向けライブラリ。Ollamaは元々このライブラリをベースとしており、同じようにローカルで Llamaモデルを動かすための軽量な実装となっている。モデル管理機能やAPI/GUI補助などはOllamaの追加機能。

ユースケース

ユースケース

適している場合

プライバシー重視/機密データの処理

法律・規制でデータが外に出せない、社内のみでモデルを使いたい場合

オフライン環境での利用

セキュリティ等の理由により外部ネットワークとの接続が制限された環境でAIを使いたい場合

プロトタイピング・研究用途

研究者/開発者が新しいモデルの検証や比較実験を行いたい場合

エッジデバイス・ローカルアプリへの組み込み

リソース制約があるデバイス上でも量子化モデルなどを使って動かしたい場合

動作環境

項目

内容

OS

macOS, Linux, Windows

CPU

最新世代のCPUであること望ましい。大きなモデルではコア数・命令セットのサポートで処理速度に差が出る。

メモリ(RAM)

小さいモデル(数十億パラメータ未満/量子化モデルなど)の場合 8GB~16GB程度で始められるが、7B,13B,などの大きいモデルでは16GB~32GB、場合によりそれ以上が必要。

ディスク容量

モデルファイルや依存ライブラリなどを含めて、モデルのサイズに応じて数GB~数十GB。

GPU/VRAM

大きめのモデルを高速に動かす場合はGPUが必須。

Ollamaのライセンス

 Ollama自体はMITライセンスの下で配布されています。しかし、Ollamaが使うモデルはそれぞれ独自のライセンスを持っており、たとえばLlama 3はMeta Llama 3 Community License、GemmaはApache 2.0に基づいて提供されています。したがって、モデルの使用にあたってはそのライセンス条項についても遵守する必要があります。

参考情報

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