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OpenSSLとは

OpenSSLは、強力な暗号化機能を提供するオープンソースのライブラリです。
SSL/TLSプロトコルの実装を中心として、暗号化、復号、証明書管理、およびセキュアな通信をサポートします。
ウェブサーバーやメールサーバー、VPNなど、さまざまなシステムでセキュリティを強化するために広く使用されています。

SSL(Secure Sockets Layer)とは

SSLは、インターネット上でデータを暗号化して送受信するためのプロトコルです。
Netscape Communications社によって1990年代に開発され、ウェブブラウザとサーバー間の通信を保護するために広く採用されました。
SSLはその後、より安全なプロトコルであるTLS(Transport Layer Security)に進化しましたが、現在でも「SSL」という用語が一般的に使用されています。

OpenSSLの歴史と開発の経緯

OpenSSLは、1998年にEric A. YoungとTim J. Hudsonによって開発が始まりました。
当初はSSLeayという名前で開発されていましたが、後にOpenSSLとしてリリースされました。
OpenSSLは、SSL/TLSプロトコルのオープンソース実装として、広く利用されるようになりました。
OpenSSLの開発は、当初からコミュニティベースで進められてきましたが、1998年にOpenSSLプロジェクトが正式に立ち上げられ、その後、多くの開発者が貢献しています。
OpenSSLは、その柔軟性と強力な機能から、多くのシステムで利用されるようになり、現在ではインターネットのセキュリティを支える重要なインフラの一つとなっています。

主な特徴

OpenSSLは、その柔軟性と強力な機能から、多くのシステムで利用されています。
以下に、その主な特徴を詳しく説明します。

  • 多様な暗号化アルゴリズムのサポート
    OpenSSLは、AES、RSA、ECDSA、SHAなど、さまざまな暗号化アルゴリズムをサポートしています。
    これにより、多様なセキュリティ要件に対応可能です。
  • SSL/TLSプロトコルの完全な実装
    OpenSSLは、SSLおよびTLSプロトコルの完全な実装を提供しています。
    これにより、ウェブサーバーやメールサーバー、VPNなど、さまざまなアプリケーションでセキュアな通信を実現できます。
    特に、TLS 1.3のサポートにより、最新のセキュリティ標準に対応しています。
  • 公開鍵/秘密鍵の生成
    対称鍵、公開鍵、秘密鍵の生成をサポートし、多様な暗号アルゴリズムに対応しています。
  • 証明書の管理と認証機構の構築
    OpenSSLは、X.509証明書の生成、署名、検証を行うことができます。
    これにより、プライベート認証局(CA)を構築し、独自のSSL証明書を発行することが可能となり、組織内でのセキュアな通信を実現できます。
  • クロスプラットフォーム対応
    OpenSSLは、Linux、Windows、macOSなど、さまざまなOSで利用可能です。
    これにより、異なる環境でのセキュリティ要件に対応可能です。
  • オープンソースであること
    OpenSSLは、Apache License 2.0で提供されており、無料で利用・改変・配布が可能です。
    そのためコストをかけずにセキュリティを強化できます。
    また、ソースコードが公開されているため、特定のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。

メリット・デメリット

OpenSSLは、その強力な機能と柔軟性から、多くのシステムで利用されています。
しかし、メリットとデメリットの両方があります。
以下に、その詳細を説明します。

メリット・必要性

  • 無料で利用可能
    OpenSSLは、オープンソースなので、無料で利用できます。
    そのためコストをかけずにセキュリティを強化することができます。
    特に、予算が限られている組織やプロジェクトにとって、大きなメリットです。
  • 高いカスタマイズ性
    OpenSSLは、ソースコードが公開されているため、特定のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。
    これにより、特定の暗号化アルゴリズムを追加したり、既存の機能を拡張したりするような独自のセキュリティ要件に対応できます。
  • 広範なサポート
    OpenSSLは、多くのプラットフォームとアプリケーションでサポートされています。
    これにより、Linuxサーバーで動作するウェブアプリケーションと、Windowsクライアント間でのセキュアな通信を実現するような異なる環境でのセキュリティ要件に対応可能です。
  • 活発なコミュニティ
    OpenSSLは、活発な開発者コミュニティにより、継続的に更新と改善が行われています。
    そのため、最新のセキュリティ標準に対応し、脆弱性が迅速に修正されます。

デメリット・注意点・課題

  • 設定の複雑さ
    OpenSSLは、高度な機能を利用するためには、専門知識が必要です。
    特に、証明書の管理や暗号化アルゴリズムの選択において、設定が複雑になることがあります。
    そのため、初心者にとっては利用が難しい場合があります。
  • セキュリティリスク
    OpenSSLは、過去に重大な脆弱性が発見されたことがあり、定期的な更新が必要です。
    例えば、2014年に発見された「Heartbleed」脆弱性は、多くのシステムに影響を与えました。
    セキュリティリスクが存在することを認識し、定期的な更新と監視が必要となります。
  • パフォーマンスの問題
    OpenSSLは、強力な暗号化機能を提供する一方で、パフォーマンスに影響を与えることがあります。
    特に、大量のデータを処理する場合や、リソースが限られている環境では、パフォーマンスの低下が発生する可能性があります。

導入事例

OpenSSLは、その強力な機能と柔軟性から、さまざまなシステムで利用されています。
以下に、その主な導入事例を詳しく説明します。

  • ウェブサーバーのセキュリティ強化
    OpenSSLは、ApacheやNginxなどのウェブサーバーでHTTPS通信を実現するために使用されます。
    HTTPSは、HTTPのセキュアなバージョンでありSSL/TLSプロトコルを使用してデータを暗号化します。
    これにより、ユーザーのプライバシーを保護し、データの改ざんを防ぐことができます。
  • VPNの構築
    OpenSSLは、OpenVPNなどのVPNソフトウェアで、暗号化通信の基盤として利用されます。
    VPNは、インターネット上のセキュアな通信路を提供し、リモートアクセスやデータの保護を実現します。
  • 証明書の発行と管理
    OpenSSLは、プライベート認証局(CA)を構築し、独自のSSL証明書を発行する際に使用されます。
    例えば、企業内のイントラネットで使用するSSL証明書を発行し、内部システム間の通信を保護することができます。
  • メールサーバーのセキュリティ強化
    OpenSSLは、PostfixやSendmailなどのメールサーバーで、SMTP over TLS(SMTPS)を実現するために使用されます。
    これにより、メールの送受信をセキュアに行うことができます。
    特に、機密情報を含むメールの送信において、データの漏洩を防ぐことができます。
  • IoTデバイスのセキュリティ強化
    OpenSSLは、IoTデバイスでのセキュアな通信を実現するために使用されます。
    例えば、センサーデータの送信や、リモート制御の際に、データを暗号化し、セキュリティを確保することができます。

類似プロダクト

  • GnuTLS: GNUプロジェクトの一環として開発されたSSL/TLSライブラリ。
  • LibreSSL:OpenSSLからフォークし、セキュリティとコードの簡素化を重視。
  • BoringSSL:OpenSSLのGoogleによるフォーク。より高い安全性を重視。

商用製品との機能比較

機能

OpenSSL

商用製品

コスト

無料

有料

カスタマイズ性

高い

制限あり

サポート体制

コミュニティ

公式サポート

プラットフォーム対応

多様

制限あり

動作環境

  • OS: Linux、Windows、macOS、BSDなど
  • ハードウェア: x86、ARMなど
  • 依存ライブラリ: 一部の機能では、追加のライブラリが必要な場合あり

OpenSSLのライセンス

OpenSSLは、Apache License 2.0およびOpenSSL Licenseのデュアルライセンスで提供されています。これにより、無料で利用・改変・配布が可能です。

商用利用に関する制限

  • Apache License 2.0:商用利用が可能であり、改変や再配布も自由です。ただし、著作権表示とライセンス条項の表示が必要です。
  • OpenSSL License: 商用利用が可能ですが、OpenSSLを使用したことを明示する必要があります。また、OpenSSLのライセンス条項を遵守する必要があります。

製品ダウンロード

OpenSSLをサポートしている企業・Webサイト

  • Red Hat:OpenSSLをサポートするエンタープライズ向けのソリューションの提供。
  • Canonical:Ubuntuの公式リポジトリでOpenSSLをサポートしています。
  • IBM:自社製品でOpenSSLを使用し、サポートを提供しています。
  • Amazon Web Services (AWS):AWSの多くのサービスでOpenSSLを使用し、サポートを提供しています。
  • Microsoft:Windows Subsystem for Linux (WSL) でOpenSSLをサポートしています。

オープンソース年間サポートサービス

OpenStandiaではOSSを安心してご利用いただけるように、オープンソース年間サポートサービスをご提供しております。
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