OTRS情報
- OTRSとは
- 主な機能
- 主な特徴
- 導入事例
- 類似プロダクト
- 商用製品との機能比較
- ユースケース
- 動作環境
- OTRSの画面イメージ
- OTRSのライセンス
- 製品ダウンロード
- 参考情報
- オープンソース年間サポートサービス
OTRSとは
OTRS(オーティーアールエス)は、「Open source Ticket Request System」の略で、2001年にドイツでコミュニティが創設、2003年に最初の安定版GAが公開された、オープンソースのチケット発行システムです。
OTRSは、ヘルプデスク管理機能(OTRS Help Desk)とITIL(※)に対応した運用管理機能(OTRS ITSM)を実装しています。
OTRSのヘルプデスク管理機能では、顧客からの問い合わせを電話やメールなどで受信するインバウンド業務と、その問い合わせなどを返答したり、顧客に連絡事項を通知したりするアウトバウンド業務において、トラブルチケットの発行、配信、回答、管理、保管といった顧客対応の一連の流れを管理する機能が備わっています。
ヘルプデスクのサービスレベル違反の監視するなど、サービスレベルの維持を常に満たすための機能もあります。
海外において、OTRSはPBXと連携したコールセンターとしても数多く利用されています。
ITIL対応の運用管理機能としては、インシデント管理、問題管理、変更管理、要求実現、サービス資産管理・構成管理、ナレッジ管理があります。
OTRSの問題管理では、インシデントと他のITサービスマネジメントプロセス(サービス資産管理・構成管理、ナレッジ管理)によって収集されたデータを照らし合わせ、見逃される可能性のある問題を識別し、その問題の原因の追及と対策、再発防止策の策定を支援します。
変更管理では、問題管理以降の、実際の対策実施の為のインフラストラクチャやアプリケーションの変更を実施するために変更作業を管理します。
要求管理では、情報、助言、ITサービスへのアクセスに対するユーザーからのサービス要求を管理します。
OTRSのこれらの運用管理機能によって、IT部門と他のビジネスユニット間との連携の実現と、効率的かつ顧客満足度の向上につながるITサービス提供の基盤を構築でき、ITILが推奨するインシデントを未然に防ぐプロアクティブ(積極的)なITサービスマネージメントを支援します。
OTRSは、利用可能言語が38もあり、全世界で320万ダウンロード、17万以上のインストール実績があります。
今後日本でも、ますますの利用拡大が期待されている製品といえます。
OTRSはサポート有りの有償版と、無料のコミュニティ版があります。コミュニティ版の最新バージョン(GA)は以下の通りです。(2020年10月現在)
- OTRS ITSM...5.s.42、6.0.30
- OTRS Help Desk...5.s.39、6.0.24
※製品版ではバージョン7がリリースされていますが、コミュニティ版は現状未リリースです。
※ITIL:Information Technology Infrastructure Libraryの略で、ITサービス運用の分野における業界標準として広く認知されている、ITサービスに関する実際の運営方式やノウハウを収集し書籍化されたもの。現在、ITILの最新バージョンはITIL V3で、ITIL運用管理ツールがITIL規格に準拠していることを認定するプログラムにPink Elephant社による「PinkVERIFY」があります。OTRSは、PinkVERIFYで定義された管理領域のうち6プロセス(インシデント管理、問題管理、変更管理、要求実現、サービス資産管理・構成管理、ナレッジ管理)の認定を受けています。
主な機能
主な機能は以下のとおりです。
機能 |
詳細 |
---|---|
ヘルプデスク管理機能(OTRS Help Desk) | |
ダッシュボード |
保留期限切れチケット、エスカレーションチケット、新規チケット、対応中チケットなどをトップ画面に一覧表示 |
チケット管理 |
Web、メール、電話、FAX、PDA、SMS、または SOAP/XML.などの複数の入力に対応キューにメッセージが来たとき、チケットが完了したときなど、条件に応じたメールをあらかじめ作成し、自動的に返信することが可能 |
メール自動返信 |
キューにメッセージが来たとき、チケットが完了したときなど、条件に応じたメールをあらかじめ作成し、自動的に返信することが可能 |
アラート通知 |
SLAに基づいた回答期限やエスカレーション期限が近づいたときなど条件に応じた通知が可能 |
対応履歴閲覧 |
インシデント単位での対応履歴閲覧が可能 |
FAQ管理 |
ロールベースで表示内容を変更可能 |
時間会計機能 |
要員の作業工数管理、休暇管理など |
アンケート調査機能 |
チケット完了時に、自動的に顧客へアンケートメールを送信し、顧客が入力したアンケート結果を自動的に集計 |
統計レポート機能 |
CSV、円グラフ、線グラフなどの統計情報の取得サンプルも用意されている |
運用管理機能(OTRS ITSM) | |
※インシデント管理 |
インシデントの統合、インシデントの分割、インシデントの優先付け、対応期日管理、インシデントのワークフロー管理など |
※要求実現 |
情報、助言、ITサービスへのアクセスに対するユーザーからのサービス要求を管理 |
※問題管理 |
サービスデスクで解決出来なかった問題、インシデント管理からエスカレーションされてきたインシデントに対し、ITインフラストラクチャ、構成アイテムや顧客との関連性を捉えながら、新規の問題なのか既知のエラーなのかといった判別を支援し、迅速な復旧と問題の再発を防止するための知識の共有を促進 |
※ナレッジ管理 |
既知エラーやノウハウをナレッジとして管理し、顧客やヘルプデスク担当者向けに情報共有 |
※変更管理 |
問題管理以降の、実際の対策実施に向けたインフラストラクチャやアプリケーションの変更を実施するための変更作業を管理 |
※サービス資産管理 |
購入価格や減価償却などの財務的な情報や保守ベンダーの連絡先、契約情報などを管理 |
※構成管理 |
構成アイテム(CMDB)として、コンピュータ、ハードウェア、ロケーション、ネットワーク、ソフトウェアの5つがデフォルトで登録可能 |
サービスレベル管理 |
サービスレベルの設定、サービス違反などの管理 |
ロール・グループ管理 |
作業者と顧客というロールのほか、ユーザーをグループで管理可能 |
ロールによる権限管理 |
利用メニュー、参照権限、アクセス権限などの管理 |
アクセス管理 |
アクセスログの参照、更新 |
※ITIL運用管理ツールがITIL規格に準拠していることを認定するプログラムPink Elephant社「PinkVERIFY」で認定を受けているプロセス
主な特徴
主な特徴は以下のとおりです。
マルチOS、マルチクライアント |
Linux、BSD系、Mac OS X、Solaris、Microsoft Windowsなど、さまざまなOSをサポート |
---|---|
ITIL V3対応 |
OTRSは、ITIL最新バージョンITIL V3の認定プログラムである「PinkVERIFY」で6プロセス(インシデント管理、問題管理、変更管理、要求実現、サービス資産管理・構成管理、ナレッジ管理)にて認定済みであるため、これらの機能を利用すれば ITILに準拠したIT サービス マネジメント(ITSM)を実現でき、さらにビジネスプロセス考案などに費やす時間や負荷も削減可能 |
標準プロトコル採用 |
SOAP、XML、JSON、HTTP、Eメールプロトコルを採用 |
セキュリティ対応 |
S/MIME、PGP、HTTPS、IMAPS、POP3、SMTPS、グループやロールに基づく承認コンセプト |
優れたユーザーインターフェース |
メール、電話、Webでの問い合わせなどを一元管理できる、使い勝手のよいユーザーインターフェースを採用し、Ajaxに基づくカスタマサーチや自動補完などにも対応 |
導入実績が多い |
全世界で165万ダウンロード、11万以上のインストール実績を持ち、数多くのコールセンターで利用されている |
モバイル対応 |
iPhoneやAndroid端末などのモバイルに対応 |
高機能 |
基本的なヘルプデスク管理機能、ITILに対応した運用管理機能のほかに、統計分析機能なども備える |
気軽に試せる |
オープンソースなので無料でダウンロードでき、インストール作業も簡単、カスタマイズも自由にできる |
ロール管理 |
初期設定として、サポートリクエストに対応する「担当者」、サポートサービスの受け手である「顧客」の2種類のユーザーロールが設定でき、このロールやグループなどに応じた情報管理やアクセス管理が可能 |
コスト効果 |
高機能なチケット管理システムでありながら、オープンソースでライセンス費用がかからないため、商用製品に比べコストを大幅に削減することが可能 |
導入事例
OTRS(オーティーアールエス)は、オープンソースのチケット発行システムとして全世界で165万ダウンロード、11万以上のインストール実績があります。 海外では、PBXと連携したコールセンターなどを中心に採用が進んでいています。
日本でも、国内ベンダーが2011年8月より日本語対応かつ保守サポートを開始したことで、今後国内のエンタープライズ向けシステムの導入実績が増えていくと期待されています。
類似プロダクト
商用ソフトウェア製品では、IBM Tivoli運用管理ツール、CA Service Desk Manager、ServiceDesk Plus、JIRA ServiceDesk、Backlog、オープンソースでは、Redmine、Tracが、OTRSと同様の機能を提供しています。
商用製品との機能比較
商用製品との機能等の比較は以下のとおりです。
機能 |
OTRS |
Redmine(OSS) |
商用製品A |
商用製品B |
---|---|---|---|---|
ヘルプデスク管理機能 | ||||
ダッシュボード |
○ |
× |
○ |
○ |
チケット管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
メール自動返信 |
○ |
× |
○ |
○ |
アラート通知 |
○ |
○ |
○ |
○ |
対応履歴閲覧 |
○ |
○ |
○ |
○ |
FAQ管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
時間会計機能 |
○ |
○ |
○ |
○ |
アンケート調査機能 |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
○ |
統計レポート機能 |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
○ |
顧客情報管理 |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
○ |
担当者管理 |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
○ |
運用管理機能 | ||||
インシデント管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
要求実現 |
○ |
× |
○ |
× |
問題管理 |
○ |
× |
○ |
○ |
ナレッジ管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
変更管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
サービス資産管理 |
○ |
△(カスタムフィールドで対応) |
○ |
○ |
構成資産管理 |
○ |
△(カスタムフィールドで対応) |
○ |
○ |
サービスレベル管理 |
○ |
× |
○ |
○ |
ロール・グループ管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
ロールによる権限管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
アクセス管理 |
○ |
○ |
○ |
○ |
その他機能 | ||||
購買管理 |
× |
× |
× |
○ |
契約管理 |
× |
× |
○ |
○ |
セルフサービスポータル |
○ |
× |
○ |
○ |
サービスカタログ |
○ |
× |
○ |
○ |
レポーティング |
○ |
○ |
○ |
○ |
システムモニタリング |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
△(有償の別製品導入で対応可) |
マイルストーン設定(ロードマップ) |
× |
○ |
○ |
× |
カレンダー/ガントチャート |
× |
○ |
○ |
× |
伝言板、ニュース |
× |
○ |
× |
× |
文書の登録/閲覧(Wiki) |
× |
○ |
× |
× |
ディスカッション(フォーラム) |
× |
○ |
○ |
× |
ファイル共有 |
× |
○ |
○ |
× |
RSS配信 |
× |
○ |
○ |
× |
CSVデータインポート |
○ |
○(プラグイン) |
○ |
○ |
CSVデータエクスポート |
○ |
○ |
○ |
○ |
モバイル対応 |
○ |
× |
○ |
○ |
多言語対応 |
○ |
○ |
○ |
○ |
API連携 |
REST API |
REST API |
REST API、Text API |
REST API 、Servlet API |
同時接続25ユーザーの場合の費用 |
\0 |
\0 |
\14,000,000 |
\1,955,000(1年間ライセンス) |
ユースケース
OTRSは以下のような場面などにおいて活用されています。
信頼性の高い柔軟なITサービスソフトウェアとして
構成管理、ナレッジ管理、変更管理などの作業プロセスのサポート
顧客サービスソフトウェアとして
顧客調査機能、SNS機能を利用したエンドカスタマーサービス
セキュリティ管理ソフトウェアとして
詳細な権限管理、通信プロセスのシームレスなストレージ、PGPおよびS / MIME暗号化などによるセキュリティ要件を満たすツールの提供
文書ワークフロー管理として
バージョン管理や承認フロー、電子メールなどを利用したドキュメントの管理および調整
人事管理ツールとして
休暇申請などの従業員管理や人事チームと他の部門とのより透明なコミュニケーションのサポート
動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。
バージョン |
4.0 |
5.0 |
6.0 |
---|---|---|---|
ハードウェア |
|
|
|
OS |
|
|
|
Perl |
Perl 5.10以上 |
Perl 5.10以上 |
Perl 5.16以上 |
DB |
|
|
|
ウェブサーバ |
|
|
|
メールサーバ |
|
|
|
クライアント |
|
|
|
ディレクトリサービス |
|
|
|
OTRSの画面イメージ
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OTRSのライセンス
OTRS(オーティーアールエス)のライセンスは、AGPLv3(GNU Affero General Public License, version 3)となっています。
AGPLv3の適用範囲でソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則として、ソースコードの自由な改変も認められています。
参考情報
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