Courier-IMAPの概要
Courier-IMAP(クーリエアイマップ)とは、Double Precision, Inc.が開発したオープンソースのIMAPサーバソフトウェアです。
Courier-IMAPは、Maildirを採用した高速で高可用なIMAPサーバであり、数多くのeメールサービスプロバイダが数十万ものメールアカウントを容易に管理するために採用しています。
Courier-IMAPは、Courier-MTA(※)に同梱されているIMAPサーバと同一のものですが、スタンドアロンのIMAPサーバとして動作できるように設定されています。このため、Courier-MTA以外の、qmailや PostfixなどといったどMailbox 形式をサポートするSMTP サーバーと一緒に動作させることもできます。
Courier-IMAPの現在の最新バージョン(GA)は、Courier-IMAP 4.15.1、4.16.2、4.17.3、4.18.2、5.0.11です。(2020年9月現在)
※Courier-MTAは、オープンソースのメール転送エージェント (MTA)であるqmailの派生プロジェクトで、SMTP/POP3/IMAP4などを軸とし、メールサーバを構築する際に必要な機能を各種取りそろえたオープンソースの統合メール環境をさす。これらのプログラム群は単体での利用も可能であり、IMAP4を司るCourier-IMAPのみが使われている場合が多い。「Courier Mail Server」という呼称が一般的である。
Courier-IMAPのライセンス
Courier-IMAPは、「GPLライセンス(GNU General Public License)」を採用しています。ソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則とし、ソースコードを改変も認められています。
Courier-IMAPのライセンスについてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
Courier-IMAPの動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。(バージョン4.10.0の場合)
- UNIX
- Debian GNU/Linux
- mswin32, x64-mswin64, mingw32
- Mac OS X
- FreeBSD
- Solaris 10
- Symbian OS
- その他のLinuxディストリビューション
※バージョンによって異なりますので、詳細はお問い合わせください。
Courier-IMAPと同様の機能を提供する商品製品
商用ソフトウェア製品では、Microsoft Exchange Server(IMAPサーバを含む統合グループウェア/電子メール製品)、Oracle Communications Messaging Exchange Server、NEC ExpressMail、Sendmail Advanced Server、株式会社エアー AIR MAIL IMAP Serverが、Courier-IMAPと同様の機能を提供しています。
オープンソースソフトウェア製品では、UW(University of Washington) IMAP Server、Cyrus IMAP server、Dovecotが、Courier-IMAPと同様の機能を提供しています。
Courier-IMAPの主な機能、商用製品との機能比較
主な機能と同様の機能を提供する商用製品は以下のとおりです。
主な機能
- メール受信機能(POP3/IMAP)
- メール保存機能
- アカウント管理機能(個別ユーザー/グループ)
- 容量確認機能
機能 | Courier-IMAP | 商用製品A |
---|---|---|
メールスプール形式 | Maildir | 独自形式 (1メッセージ = 1ファイル) |
プロトコル | POP3、IMAP | POP3、IMAP |
認証方法 | PAM、LDAP、Unix Shadowパスワード、CRAM-MD5、Kerberos | SASL DB、PAM、LDAP、Unix Shadowパスワード、Kerberos5 |
SASL認証機構 | PLAIN/LOGIN/CRAM-MD5/CRAM-SHA1/CRAM-SHA256 | PLAIN/LOGIN/CRAM-MD5/DIGEST-MD5 |
バーチャルドメイン対応 | ○ | ○ |
管理画面 | × | ○ |
サーバサイドフィルタリング機能(Sieve) | ○ | ○ |
DB認証 | MySQL、PostgreSQL | MySQL、PostgreSQL |
IPv6 | ○ | ○ |
共有メールボックス | ○ | ○ |
個人名前空間 | ○ | ○ |
IMAP専用ユーザー作成 | ○ | ○ |
SSL/TLS対応 | ○ | ○ | Quota警告 | ○ | ○ |
Courier-IMAPの特徴
主な特徴は以下のとおりです。
Mkdir形式(mbox形式は非対応) | メールボックスとなるディレクトリーの下に、メール毎にファイルが作成されるため、なんらかの不具合で書き込み不良が生じても他のメールには影響がありません また、ファイルロックなどを考慮することなしに、複数のアプリケーションが同時に同一のメールボックスに対してアクセスすることが可能です |
---|---|
POP3/IMAP に対応 | 電子メールで使われる標準プロトコルに対応しています |
SSL/TLS に対応 | 暗号化通信であるSSLおよびTLSに対応しています |
バーチャルドメインをサポート | 複数のホストやドメインで提供していたサービスを1台に集約することで導入コストを削減できます |
高速 | UNIX mboxと比べて、より速く、より効率よくメールを格納することが可能です |
多彩な認証 | OS の認証機能以外に、RDBMSやLDAP、独自ファイルなどの多彩な認証が利用できます |
コスト効果 | Courier-IMAPはライセンス費用がかからないため、商用製品に比べコストを削減することができます |
Courier-IMAPのダウンロード
Courier-IMAPのサポート
NRIではお客様のご要望に応じて様々な支援ができるサービスをご用意しました。
詳細は下記ページをご確認ください。