Mailmanの概要
Mailmanはオープンソースのメーリングリスト管理ソフトウェアです。
Mailmanには標準でWebの管理画面が統合されており、管理者によるメーリングリストの配信ユーザの管理や、メーリングリストの細やかな配信設定が容易に行えるようになっています。また、過去の投稿のアーカイブや自動返信処理、各種フィルタリング、まとめ配信などの機能もあります。
また、Webの利用者画面からも、自身による入会/退会処理、過去履歴の参照、細やかな受信オプションの設定など、様々な設定を実施することが可能です。
Mailman 3 系はPython言語で実装されています(Mailman 2.1 系では、一部のモジュールでCコンパイラのビルドが必要でした)。そのため、Mailman の動作には、Pythonが動作する環境が必要です。また、Mailman自体はメールサーバの機能を持っていないので、PostfixやSendmail 等のMTA(Mail Transfer Agent)と別途連携する必要があります。
Mailman 3 系からは大幅にアーキテクチャが見直され、Pythonの複数のコンポーネントを1つにまとめてMailman Suiteとして公開されるようになりました。各コンポーネントの構成は以下の表のとおりです。いずれのコンポーネントもPython Package Index(PyPI)から利用が可能です。
Mailman Core
メールの配信および、メーリングリストとユーザデータを処理するコアモジュール。
Postorius
ユーザ設定変更やメーリングリスト設定の変更するためのWebインターフェース。
HyperKitty
GNU Mailman v3アーカイブにアクセスするためのWebインターフェースを提供するアーカイバー。
MailmanClient
GNU Mailman v3 REST APIの公式Pythonバインディングを提供するライブラリ。
Mailman Builder
PyPI経由でのMailman Suiteの全コンポーネントのインストールを補助するツール。
Mailmanの特徴
Web経由のメーリングリスト管理 | Webの管理者用画面からメーリングリストの作成、削除、および、メーリングリストの細やかな設定変更が可能。 また、メーリングリストの各種Webページ(リスト総合案内ページ、入会の結果ページ 、各会員用のオプションページ 、歓迎メールの本文など)を個別にカスタマイズすることが可能。 |
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Web経由のメーリングリスト利用 | Webの利用者用画面から、ユーザ自身による入会/退会および、過去の投稿の参照、様々な配信オプションの選択が可能。 |
多言語対応 | Webの画面およびメールの本文などについては、40弱の言語に対応。これらの言語設定は、サイトごと、メーリングリストごと、ユーザごとに選択することが可能。 |
配信ユーザ管理 | 配信ユーザごとに細やかな配信設定が可能。 配信設定としては、以下のようなものがあります。 ・ 会員情報変更(名前やメールアドレス、パスワード等) ・ 投稿制限(読み取り専用) ・ 配送停止(ユーザ自身や管理者による停止や、送信エラー多発による自動停止機能もあり) ・ 投稿の確認通知の送付有無 ・ 控え(投稿者当人へのメール)の送信の有無 ・ まとめ読み設定(複数の投稿を一括で配信) また、メーリングリストへの大量ユーザの一括登録/一括退会も可能。 |
プライバシーオプション | 入会/退会手続を管理者の承認制にするかどうか、メーリングリストの名簿を参照できるようにするかどうかの選択が可能。 また、送信者、宛先によるフィルタリングや、迷惑メールを防ぐためのSPAMフィルタがあります。 |
配送エラー処理 | 配送エラーごとに点数を加算していき、一定の点数に達した時点で、当該ユーザへの配送停止や退会処理を行うことが可能。 |
アーカイブ保存 | 過去にやりとりしたメールディスカッションの履歴が保存可能。 |
自動応答 | 投稿者や入会申請者に対して自動応答するメール文を編集することが可能。 |
添付ファイル除去 | 特定の拡張子を含む添付ファイルや、指定されたmimeタイプ以外の添付ファイルを除去することが可能。 |
話題キーワード | メーリングリスト管理者が「話題」として定義した特定のキーワード/件名を含むメールだけをユーザが選択して受信することが可能。 |
Mailmanの動作環境
MailmanはPythonで動作するため、Pythonインタプリタが動作する環境が必要です。
- Mailman 3.x の場合、Python 3.5 もしくはそれ以上を推奨
- Mailman 2.x の場合、Python 2.7 を推奨
Python自体はGNU/Linuxやその他Unix系OS(Solaris、BSD、MacOSX等)など多くのプラットフォームで利用可能ですが、MailmanとしてはWindows(やCygwin)上での動作は保証していません。
Webサーバとしては、Mailman 2.1 は CGI/1.1、Mailman 3 はWSGIをサポートしている必要があります。NginxやApache はよい選択の1つです。
MTAとしては、Postfix、Exim、Sendmail、qmail などであれば問題なく動作します。
類似の機能をもつOSS
その他の類似機能をもつメーリングリスト管理ソフトウェアとしては、
- Dada Mail
- Discourse
- Group Server
- LISTSERV
- phpList
- Sympa
などがあります。
Mailmanのライセンス
Mailmanは、GPL(GNU General Public License) v.3.0ライセンスです。
ソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則として、ソースコードの自由な改変も認められています。
Mailmanの参考情報
Mailmanのサポート
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