Postfixの概要
Postfix(ポストフィックス)とは、オープンソースの電子メールサーバソフトウェア(MTA:Mail Transport Agent)です。
Postfixは、MTAの実質的標準として非常に長い歴史と多くの導入実績を持つsendmailの後継を目指して IBMの支援のもと、インドネシア出身のオランダ人で物理学者、でもあるWietse Venema氏によって始められたプロジェクトです。Venema氏は現在Google勤務となっていますが、プロジェクトのサポートは継続して行われています。Venema氏は TCP Wrappers の開発者としても知られています。
Postfixはsendmailを参考にして開発されているため、sendmailと操作性が類似し、ファイルの互換性も保たれています。加えて高速さ、管理の容易さ、そして安全性を目指して開発されています。
そのため、sendmailに比べ設定ファイルの書き方が簡潔・容易で運用管理がしやすく、セキュリティやパフォーマンスの点で優れていると評価されています。
近年では、NetBSDなどのいくつかのUNIX系ディストリビューションで標準MTAとして採用されています。
Postfixの主な特徴
Sendmailとの高い互換性 | Sendmailを参考に開発されているため、多くの互換性があります。その為、既存のSendmailからの移行が容易で、移行後の運用・管理面でも、Sendmailとの差異を感じること無く利用することが可能です。 |
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パフォーマンスの高さ | メール受信や配送などの一連の処理を複数プロセスで実行することができます。また、Webサーバの要領でプロセス生成のオーバーヘッドを減らし、Postfixが稼動しているサーバへの負荷軽減や処理速度の向上などが図られています。 |
堅牢性の高さ | Postfixはメッセージ数の増加等の負荷増大に伴って、システムリソースを侵食するような事が無いように自身の処理速度を低減させて、影響がPostfix以外の広範囲に及ばないように設計されています。 |
セキュリティ性能の高さ | Postfixは複数の防御レイヤーを使い、侵入者からローカルシステムを保護するように設計されており、ネットワークからのローカル配送プログラムに至る直接経路は存在しません。 また、Postfixデーモンの殆どは"chroot jail"内の低い権限で動作する為、不正侵入などによりroot権限を盗まれるようなことが無いように設計されています。 |
Postfixの動作環境
Postfix は、AIX、BSD、HP-UX、IRIX、LINUX、MacOS X、Solaris、Tru64 UNIX、その他の Unix システムで動作します。
Postfixと同類のソフトウェア
商用ソフトウェア製品では、商用版Sendmail、Microsoft Exchange Serverが同様の機能を提供しています。
※電子メールサーバソフトウェアの分類では、オープンソースのExim、Postfixのシェアが圧倒的に多くなっています。
Postfixのライセンス
Postfixのライセンスは、IBM Public License1.0ですが、バージョン3.2.5からはEclipse Public License 2.0も選択することが可能となっています。
IBM Public License(IPL)はIBMが提唱したオープンソース・ライセンスで、条件等は比較的ゆるやかなライセンスですが、ソースコードを複製・改変したプログラムを配布するときにある一定条件下でソースコードを公開する義務があります。
Eclipse Public License(EPL)はオープンソースのライセンスの1つで、EPLライセンスされたプログラムの受領者は、使用・修正・コピーや、修正したバージョンの配布が可能です。 しかし、修正したバージョンを配布する場合はソースコードの入手方法を示すなどの義務が生じます。
Postfixのライセンスについてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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参考情報
Postfixのサポート
NRIではお客様のご要望に応じて様々な支援ができるサービスをご用意しました。
詳細は下記ページをご確認ください。