Pentaho情報
Pentahoとは
Pentaho(ペンタホ)とはオープンソースの統合ビジネスインテリジェンス(BI)製品(※1)です。
Pentahoは従来の商用BI製品と同等の機能と性能を提供している統合BIスイート製品であり、ETL、多次元情報分析(OLAP)、クエリー&レポーティング、インタラクティブ分析、ダッシュボード、データマイニング、BI プラットフォームといったデータ統合とビジネスインテリジェンスのあらゆる機能を網羅しています。
Pentahoの開発元であるPentaho社は、2015年に米日立データシステムズ社に買収され、2016年9月に新たに発足した日立ヴァンタラ社の一員となりました。
Pentahoは、バージョン9.xまでコミュニティによって無償版の「コミュニティ・エディション(CE)」が提供されていましたが、バージョン10.2から「デベロッパー・エディション(DE)」として公開されるようになりました。DEのライセンスはBusiness Source License(BSL)となっており、教育やトレーニング、非商用環境のみで利用でき、今までのCEのように商用環境で利用することは基本的に認められません。したがって、商用環境で使用する場合には有償版「エンタープライズ・エディション(EE)」を購入することになります。
日立ヴァンタラは年間サブスクリプション契約で保守サービス、および障害対応などの有償サポートの提供するビジネスモデルを展開しています。
(※1)ビジネスインテリジェンス(BI)製品:業務システムなどから生じる企業内の膨大なデータを蓄積・分析・加工して、経営の意思決定に活用するためのソフトウェアです。企業の競争優位を確立し、経営や業務、ビジネスリスクなどの見える化を可能にするため、このBIソフトへの関心が一段と高まっています。
主な機能
アナライザー機能
- 高速ROLAP(リレーショナルOLAP)エンジン「Mondrian」による多次元分析
- インタラクティブ(対話形式)にデータを検索、分析レポートを提供
- ドリリング、ダイシング(集計軸の入れ替え)でのスピーディな集計表示
レポーティング機能
- 100%Javaで拡張性の高い定型レポーティング
- RDBやOLAP、XMLベースのデータソースを含む、幅広いデータソースをサポート
- PDF、HTML、Microsoft Excelやリッチテキスト、プレーンテキスト等各種出力形式に対応
- Webベースでのレポート作成
ダッシュボード機能
- Community Dashboard Framework(CDF)やJFreeChartを使ったチャート・グラフを含むリッチでインタラクティブなダッシュボード
- ダッシュボード・デザイナーとダッシュボード・フレームワーク
- セルフサービス型のダッシュボード・デザイナー機能(有償版のみ)
- ワークフロー、アラート、モニタリング機能も搭載
データ統合機能
- ドラッグ&ドロップ形式のGUIツールによるグラフィカルなETL定義
- 30以上のさまざまな商用/OSSデータソースをサポート
- 完全なデータ統合やアナリティクス、あらゆるビッグデータに対応
- インスタントでインタラクティブな分析も可能
- データ・マイニング・エンジン「Weka」を搭載
- 豊富なマイニング・スキームを用いてデータに隠れたパターンや相関関係を発見
データ最適化機能
-
保存データのインベントリやコンテンツの特定、使用状況の表示
- ファイルやオブジェクトの長期保存やアーカイブストレージへの階層化などのデータライフサイクルの管理
プラグイン機能
- EE版ではSAPやSalesforce、Google analyticsといった外部サービスとの連携を可能にするプラグインやアドオンを提供
Pentaho画面サンプルなど







主な特徴
主な特徴は以下のとおりです。
BIスイート製品 |
多次元情報分析(OLAP)やレポートに加えて、データ統合(ETL)やデータマイニング、ダッシュボード、セキュリティやスケジューリングといったBIシステム構築に必要な機能を網羅 |
---|---|
高い拡張性 |
オープンソースポリシーによってソースコード・仕様が公開され、さらにあらかじめ拡張しやすい設計になっているため、機能の追加やカスタマイズが容易 |
マルチOS/マルチクライアント |
さまざまなサーバOSおよびクライアント環境に対応 |
オープンスタンダードな技術の採用 |
Common Warehouse Metamodel(CWM)に準拠しており、HTML、Ajax、XML、Java、URL、CDF、各種プラグインを採用 |
直観的な操作 |
ウェブベースでドラッグアンドドロップにより簡単にデザインできる各種デザイナーやアドホッククエリーおよびレポートを提供 |
充実した企業向け |
大容量データ分析の Hadoop との統合や企業のアジャイル BI の取り組みのサポートを含む企業向けデータサービスを幅広く提供するプラットフォーム |
コスト効果 |
ライセンス費用がかからないうえ、ユーザ数に依存しない価格体系(サーバ課金)であるため、将来のユーザ数増加時にも対応しやすく、商用製品に比べて大幅に導入コストを削減可能 |
導入事例
Pentahoはオープンソースでありながら本格的なBI製品として、500万回以上のダウンロード、10,000以上のデプロイメント、さらに航空会社や半導体通信機器メーカー、流通小売店、ソフトウェアベンダーなどの大手企業、官公庁などの政府系組織、大学など、さまざまな分野や業種で2000以上の有償版導入実績があります。
類似プロダクト
商用ソフトウェア製品ではOracle Business Intelligence、SAP BusinessObjectsシリーズ、IBM Cognos、Dr.Sum EA、Microsoft SQL Server 2008 の Reporting Serviceが、Pentahoと同様の機能を提供しています。
同じオープンソース製品では Jaspersoftが Pentahoと同様の機能を提供しています。
動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。
<サーバ>(バージョンPentaho 9.2 の場合)
Pentahoサーバは一定以上のシステム要件を満たすコンピュータ上で動作します。下記が最小限のハードウェアおよびサポートされるOSとなります。
-
ハードウェア(64bit)
-
プロセッサ
- Intel EM64T もしくは AMD64 Dual-Core もしくは以降
-
必要メモリ容量
- 8Gのうち、4GBはPentahoサーバ専用
-
必要ディスク容量
- インストール後20GB以上
-
プロセッサ
-
サポートOS(64bit)
- Microsoft Windows 2022 Server
- Red Hat Enterprise 9(※)
- Ubuntu Server 22.04 LTS(※)
(※)Pentaho Data Integrationおよび、Pentaho Business AnalyticsはRHEL 9およびUbuntu Server 22であれば、仮想環境やクラウド環境もふくめてバイナリ互換があり、サポートされます。
<コンテナ環境>(バージョン10.2の場合)
-
コンテナ環境
- Docker 24.0.6(※)
(※)このDockerバージョンが使われるKubernetes環境はサポートされます。
<ワークステーション>(バージョン10.2の場合)
下記のPentahoデザインツールはハードウェアに依存せず、通常のクライアント端末で動作します。
-
Pentaho Aggregation Designer
- Pentaho Data Integration
- Pentaho Metadata Editor
- Pentaho Report Designer
- Pentaho Schema Workbench
下記が最小限のハードウェアおよびサポートされるOSとなります。
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ハードウェア(64bit)
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プロセッサ
- Apple Macintosh Dual-Core
- Apple Mac M1, M2, M3
- Intel EM64T もしくは AMD64 Dual-Core もしくは以降
-
必要メモリ容量
- ほとんどのデザインツールは2G。PDIでは2GBを占有。
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必要ディスク容量
- インストール後2GB以上
-
プロセッサ
-
サポートOS(64bit)
- Ubuntu Desktop 20.04および、22.04
- Microsoft Windows 10 および 11
- macOS 13(Ventura)
<組み込みソフトウェア>(バージョン10.2の場合)
下記のPentahoソフトウェアを他のアプリケーションに組み込む場合、最小限のハードウェアで動作します。
-
Embedded Pentaho Reporting
- Embedded Pentaho Analysis
- Embedded Pentaho Data Integration
下記が最小限のハードウェアおよびサポートされるOSとなります。
-
ハードウェア(64bit)
-
プロセッサ
- Intel EM64T もしくは AMD64 Dual-Core もしくは以降
-
必要メモリ容量
- 8Gのうち、4GBはPentahoサーバ専用
-
必要ディスク容量
- インストール後20GB以上
-
プロセッサ
-
サポートOS(64bit)
- Ubuntu Desktop 22.04
- Microsoft Windows 11
- macOS 13(Ventura)
<アプリケーションサーバ>(バージョン10.2の場合)
Pentahoソフトウェアを展開するには下記のアプリケーションサーバを動作させる必要があります。
- Tomcat 9.0.86
<データベースリポジトリ>(バージョン10.2の場合)
Pentahoソフトウェアが利用できるデータベースリポジトリは下記のとおりです。
-
PostgreSQL 14 および、15(デフォルト)
- MySQL 8.026
- Oracle 19c および 23 ai(パッチバージョンを含む)
- MS SQL Server 2017 および2019(パッチバージョンを含む)
- Maria DB 11.1.2
<JavaVM>(バージョン10.2の場合)
PentahoソフトウェアにはJava Runtime Environment(JRE)が必要です。
下記のJDKをサポートします。
-
Oracle Java 11.x および 17.x
- Oracle OpenJDK 11.x および 17.x
- Eclipse Temurin by Adoptium
- Zulu for Azul Systems
<Webブラウザ>(バージョン10.2の場合)
リリースが確定する6週前に公開されているWebブラウザのメジャーバージョンをサポートします。
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Apple Safari 16.4 以降
- Google Chrome 126 以降
- Microsoft Edge 126 以降
- Mozilla Firefox 127 以降
Pentahoのライセンス
Pentahoのライセンスは、10.2からBusiness Source License(BSL)に変更となりました。そのため、9.x以前の「コミュニティ・エディション」(CE)の公開は終了しており、10.2以降は「デベロッパー・エディション」(DE)を利用することになります。DEのライセンスはBSLとなっているため、リリース後4年間は商用環境での利用は禁止となります。教育目的やトレーニング、プロトタイプ開発などの用途以外では利用できないので注意が必要です。
商用ライセンスの有償版「エンタープライズ・エディション」(EE)は、品質が保証されたPentahoソフトウェアを1年間使用できるサブスクリプションライセンスです。ソフトウェアの使用のほかに1年間のテクニカルサポートが提供されます。また、ダッシュボード・デザイナーやアナライズ・レポートなどEE独自の機能も利用できます。それぞれサポートレベルや利用できる機能が異なるStarter、Pro、Pro Suiteという3つのオプションがあります。
オープンソース年間サポートサービス
OpenStandiaではOSSを安心してご利用いただけるように、オープンソース年間サポートサービスをご提供しております。
サポートしているOSSは下記ページをご参照ください。
関連OSS
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サポート対象
Jaspersoft
ジャスパーソフト。PDFやHTMLなど様々な出力形式の帳票を作成することができるライブラリ
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Eclipse BIRT
エクリプス バート。BIRTとは、Business Intelligence and Reportting Toolsの頭文字で、Eclipse上で利用できるレポート開発環境です。