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Spring Modulith

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Spring Modulith とは

Spring Modulith(スプリングモジュリス)は、Spring Boot アプリケーションをより構造化されたモジュールに分割するためのフレームワークです。ドメイン駆動設計(DDD)に基づいてアプリケーションを構築するのを助け、アプリケーションの拡張性と保守性を向上させることを目的としています。各モジュールは独立して開発・テスト・デプロイされるため、大規模なシステムの管理が容易になります。

つまり、Spring Modulit を導入することで、以下に示す「モジュラーモノリス」な Spring Boot アプリケーションが開発できます。

モジュラーモノリスとは

モジュラーモノリスとは、複数の独立したモジュールを組み合わせて構築されるシステムのアーキテクチャーを指します。
これは、一つの大きなモジュール(モノリス)を複数の小さなモジュールに分割するアプローチです。
これにより、システムの柔軟性や拡張性が向上します。

モジュラーモノリスは、以下の図のようにモノリシックとマイクロサービスの中間のアーキテクチャと言えます。

上記3つのアーキテクチャを比較すると、以下のようになります。

アーキテクチャ

構造

利点

欠点

モノリシック

システム全体が単一の大きなコードベースで構成されている

単一のデプロイメントユニットとして扱いやすく、初期開発が簡単

スケールやメンテナンスが難しく、変更が他の部分に影響を与えるリスクがある

モジュラーモノリス

システムは大きなモノリスであるが、内部では明確にモジュールに分割されている

各モジュールが独立してテスト・デプロイでき、メンテナンス性が向上する

完全な独立性はないため、モジュール間の依存関係が依然として存在する

マイクロサービス

システム全体が独立した小さなサービス(マイクロサービス)の集合体として構成されている

各サービスが独立して開発・デプロイでき、スケーラビリティや障害耐性が高い

サービス間の通信やデータ管理が複雑になり、運用コストが増えることがある

主な機能

Spring Modulith の主な機能は、以下の通りです。

  • モジュール化: アプリケーションを論理的なモジュールに分割し、各モジュールを独立して開発、テスト、デプロイすることができます。
  • モジュール構造の検証: アプリケーションのモジュール構成を検証し、構造的な問題を検出します。
  • 依存関係管理: モジュール間の依存関係を明確にし、循環参照などを防ぎます。依存関係の視覚化や最適化もできます。
  • モジュール境界の定義: 各モジュールが公開する API を明確に定義し、モジュール間の結合度を低く保ちます。
  • 統合テスト: 各モジュールの統合テストを実行し、モジュール間の相互作用を確認します。
  • ドキュメント生成: モジュールの構成をドキュメント化し、ドキュメントスニペットを生成します。
  • モジュールの観察: ランタイムでモジュールの動作を観察し、モジュール間の相互作用を理解します。

メリット・デメリット

メリット・必要性

Spring Modulith を導入することで以下のような恩恵が得られます。

  • 構造化: アプリケーションを明確なモジュールに分割することで、コードの理解と保守が容易になります。
  • 再利用性: 各モジュールは独立しているため、他のプロジェクトでも再利用が可能です。
  • スケーラビリティ: モジュールごとに独立してスケールアップやスケールアウトが可能です。
  • テスト容易性: モジュール単位でテストを行うことで、バグの特定と修正が迅速に行えます。

デメリット・注意点・課題

Spring Modulith を導入する上でのデメリットや注意点は、以下のようなことが挙げられます。

  • 初期設定の複雑さ: モジュール化のための初期設定が複雑になることがあります。
  • 依存関係の管理: モジュール間の依存関係を適切に管理する必要があります。
  • オーバーヘッド: モジュール分割によるパフォーマンスのオーバーヘッドが発生する可能性があります。

類似プロダクト

Spring Modulith と比較対象になったり、代替になったりするような OSS は現時点では無いと言えます。
モジュール化の概念は OSGi (Open Service Gateway Initiative)に似ていますが、Spring Modulith は Spring Boot に特化しており、より簡単な導入と運用が可能です。
なお、OSGi は Java ベースのモジュラープラットフォームで、モジュールの動的な管理と分離を実現します。

ユースケース

以下のような活用例が考えられます。

  • 大規模エンタープライズアプリケーション: 複数のチームが協力して開発する大規模なアプリケーションでの使用が適しています。
  • マイクロサービスの前段階: 完全なマイクロサービスアーキテクチャに移行する前のステップとして、Spring Modulith を採用するケースがあります。
  • 再利用可能なコンポーネント開発: 複数のプロジェクトで再利用可能なコンポーネントを開発する場合。

動作環境

  • プラットフォーム: Spring Modulith は JVM 上で動作するため、OS には依存しません。
  • 依存関係: Spring Boot 2.4 以降が必要です。
  • ビルドツール: Maven または Gradle を使用してプロジェクトをビルドします。

Spring Modulithのライセンス

Spring Modulith は、Spring の他のプロジェクトと同様に、Apache 2.0 ライセンスの下で提供されています。
ユーザーはそのソフトウェアの使用や頒布、修正、派生版の頒布をすることに制限を受けません。

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