Zabbixの概要
Zabbixとは、サーバ、ネットワーク、アプリケーション、ネットワーク機器などの障害およびパフォーマンスを集中監視するためのオープンソースの統合監視ソフトウェアです。
Zabbixはオープンソースでありながら統合監視に必要な監視機能、障害検知機能、通知機能などを豊富に備えており、セットアップが簡単であること、Webベースの使いやすい管理インタフェースで設定プロセスが容易であること、大規模な監視への対応、可視化機能、SNMPへの対応などが特徴です。
Zabbixは、ラトビアのアレクセイ・ウラジシェフ氏によって1998年に開発され、2004年に最初の安定版バージョン1.0がリリースされました。
現在も、ウラジシェフ氏が設立したZabbix SIA社が中心となって開発や機能改善が進められており、システム全体をZabbixひとつで監視することが可能な本格的かつプロフェッショナルな統合監視ソフトウェアとして、近年、日本での注目度や人気が高まってきています。
また、Zabbixは高機能な統合監視ソフトウェアでありながら、エンタープライズバージョンは存在せず、Zabbixの全機能を無料で利用することが可能です。(サポートは有償)
Zabbixの現在の最新バージョン(GA)はZabbix 2.2.23、3.0.28、3.2.11、3.4.15、4.0.15、4.2.8、4.4.3です。(2019年11月現在)
Zabbix4.xの新機能
新しいWebインタフェース | ダッシュボードが改善され、グラフ描画による視覚化、汎用性、柔軟性などが向上しました。 |
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アイテム(メトリクス)の即時取得 | アイテムの新しい値を即時取得可能となりました。 |
新しいHTTP認証オプションを追加 | Kerberos、NTLMなどのソリューションを使用したフロントエンドへのシングルサインオンが可能になりました。 |
MySQL8.0のサポート | MySQL8.0をサポートしました。 |
パフォーマンスの向上 | セマフォをpthreadミューテックスと読み取り/書き込みロックに置き換えることによりパフォーマンスが改善されました。 |
その他 | その他50以上の新機能が追加されました。 |
Zabbixのライセンス
Zabbixは、オープンソースの統合監視ソフトウェア製品であり、無償の「GPLライセンス(GNU General Public License) version2」を採用しています。
ソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則として、ソースコードの自由な改変も認められていますが、使用にあたってはGPLのライセンス使用条件に従う必要があります。
特に商用製品として使用する場合などは使用条件を詳細に確認する必要があります。
Zabbixのライセンスについてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
※ "Zabbix is a registered trademark of Zabbix SIA"
Zabbixの動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。(バージョン4.0の場合)
ハードウェア | ・物理メモリ:128MB ・空きディスク容量:256MB ※必要なディスク・メモリーの量は、監視されているホストとパラメータの数に依存するため、長期利用の場合はGBレベルの空きが必要 ・シリアル通信ポート、シリアルのGSMモデム ※SMS通知サポートを使用するために必要、USBシリアルコンバータも使用可能 |
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OS(サーバ/エージェント) |
・Linux ・IBM AIX ・FreeBSD ・NetBSD ・OpenBSD ・HP-UX ・Mac OS X ・Solaris ・Windows: XP以降 (※Windowsは、Zabbixエージェントのみ) |
ソフトウェア(DB) |
・MySQL:5.0.3 - 8.0.x(※Zabbixのバックエンドデータベースとして使用されている場合。InnoDBエンジンが必要) ・Oracle:10g以降(※Zabbixのバックエンドデータベースとして使用される場合) ・PostgreSQL:8.1以降(※Zabbixのバックエンドデータベースとして使用される場合。PostgreSQL 8.3以降を推奨) ・SQLite:3.3.5以降(※Zabbixのバックエンドデータベースとして使用される場合) ・IBM DB2:9.7以降(※Zabbixのバックエンドデータベースとして使用される場合) |
ソフトウェア(フロントエンド) |
・Apache HTTP Server:1.3.12以降 ・PHP:5.4.0以降 |
Webブラウザ(フロントエンド) |
・Google Chrome(※最新版) ・Mozilla Firefox(※最新版) ・Microsoft Internet Explorer(※最新版) ・Opera(※最新版) ※その他ブラウザ(Apple Safari, Konquerorなど)も動作可能性あり |
その他(サーバ) |
<必須パッケージ> ・libpcre ・libevent ・libpthread ・zlib <オプショナルパッケージ> ・OpenIPMI ・libssh2(バージョン1.0以降) ・fping ・libcurl(バージョン7.28.0以降を推奨) ・libiksemel ・libxml2 ・net-snmp |
※バージョンによって異なりますので、詳細はお問い合わせください。
Zabbixの構成
- Zabbix Server(サーバ)
・監視および監視データの収集、設定などの管理を行う - Zabbix Agent(エージェント)
・監視対象サーバにインストールし、動作するソフトウェア
・監視対象サーバのリソース情報やアプリケーション稼働情報などを収集し、Zabbixサーバへ送信 - Webフロントエンド
・PHPで実装されたWebアプリケーション
・Zabbixサーバが収集したデータの可視化表示や各種設定を行う
Zabbixの主な特徴
主な特徴は以下のとおりです。
操作性 | 特別なクライアントのインストールは不要で、Webブラウザさえあれば簡単な操作で監視ステータスの表示や設定を行うことができる |
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高機能 | 多数の監視機能をデフォルトの機能として提供するほか、システム状況をグラフィカルに表示させるカスタムグラフ、ダッシュボード、ネットワークマップなどの作成機能といった可視化機能も装備 |
高い拡張性 | 独自のカスタムスクリプトを利用して監視機能を容易に拡張可能 |
マルチプラットフォーム | さまざまなサーバOSおよびクライアント環境に対応 |
コスト効果 | サーバやエージェントのライセンス費用がかからないため、商用製品に比べて大幅に導入コストを削減 |
Zabbixの主な機能
- 監視機能
・サーバのリソース、プロセス、ディスク、ファイル、ログ監視
・仮想環境監視(VMwareなど)
・データベース監視
・Webサーバ監視
・ネットワーク機器の監視(SNMP)
・ハードウェア監視(IPMIを利用)
・取得データの保存など
・エージェントレス監視
・分散監視
- 障害検知機能
・障害検知の閾値設定
・障害検知/復旧の通知(Web管理画面・メールなど)
・受信した障害情報の確認応答
・障害情報のエスカレーション
・シェルコマンド実行(Zabbixサーバ/エージェント)など
- データ可視化機能
・Webフロントエンド
・グローバルダッシュボード
・グラフ
・マップ
・ユーザー権限スキーマなど
- テンプレート機能
・エンティティ(アイテム、トリガー、グラフ等)のセットにより大量のホストを効率的に管理
・構成のインポート/エクスポートなど - キャパシティプランニング機能
・ディスク使用量などの経過を分析や確認
・CPU、メモリ、ディスク、ネットワーク帯域幅の浪費検出など - オートディスカバリ機能
・ネットワークディスカバリ
・ローレベルディスカバリ
・監視対象の自動登録
Zabbixの導入事例
Zabbixは次のようなお客様に導入されています。
- 早期にサーバを監視でき、柔軟かつ詳細に自動で設定ができる監視システムがほしい
→ZabbixのAPI、テンプレート機能やオートディスカバリ機能により実現 - 異なるプラットフォームにまたがって、同一の仕組みで監視運用をしたい
→Zabbixはマルチアーキテクチャ、マルチプラットフォームに対応 - 多数の導入実績があり、信頼のおける監視ツールを使いたい
→Zabbixは大規模システムでの導入実績もあり、日本でのサポートも豊富である
Zabbixと同様の機能を提供する商品製品
商用ソフトウェア製品では、Tivoli、JP1、WebSAM、Senjuなどが、Zabbixと同様の機能を提供しています。
同じオープンソース製品では、 Hinemos、Nagios、Hyperic HQ、Scalrなどが Zabbixと同様の機能を提供しています。