ADempiereの概要
ADempiere(アデンピエレ)は、オープンソースのERPパッケージ(統合業務パッケージ)ソフトウェアです。
受注から出荷までの一連のサプライチェーンと管理会計、財務会計人事管理を含めた企業の基幹業務をサポートします。
ADempiere(アデンピエレ)は、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理、固定資産管理、人事給与管理、財務会計、といった業務機能を提供しています。さらに、それらの機能や情報を相互に連携することで、業務の効率化、見える化も推進できるソフトウェアです。
ADempiereはイタリア語で「実行する」「完成させる」「到達する」などの意味で、2006年にオープンソースERPであるCompiere(コンピエール)から分岐して、プロジェクトが発足しました。
Compiere(コンピエール)は、オープンソースERPとしての知名度や導入実績では世界で最も高いですが、無償のCommunity Editionでは、ウェブベースのユーザーインターフェイスが含まれないなど、機能に制限があります。(有償版としては、Standard Edition、 Professional Edition、 Enterprise Editionがリリースされています。)
一方、後継のADempiereは、ウェブユーザーインターフェイスも無償で提供されており、Oracle XEとPostgreSQLへの対応など、Compiereには無い機能も実装されていることから、世界で最も高機能なオープンソースERPのひとつとして近年注目が集まっています。
ADempiereの開発は、sourceforge.netのADempiereコミュニティで行われています。
世界中のオープンソースプロジェクトが集まっているsourceforge.netで、常にランキングの上位に入っており、30以上の国、6つの大陸にまたがった組織的なプロジェクトとして世界中の優秀なERP開発者やシステム開発会社がBazaar方式で開発に参加しています。
ADempiereの現在の最新バージョン(GA)は、ADempiere 3.7.0、3.8.0 です。(2015年10月現在)
ADempiereのライセンス
ADempiereのライセンスはGNU General Public License Version2(GPL v2)です。ADempiereは個人・企業を問わず、ライセンス費用はかからず、無償で利用できます。GPLの条件下で、ダウンロード、利用、ソースの改変、配布することもできます。
ADempiereのライセンスについてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
ADempiereの動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。(バージョン3.7.0の場合)
サーバ
- OS
32bit、64bit両方問題なく動作
Windows:Server 2000、2003、2008、XP、Vista、7
Linux(Debian系):Ubuntu 8.04~11.04
Linux(RedHat系):RedHat 5.4~6.2、 CentOS 5.4~6.2、 Fedora 10
Linux(その他):Mandriva 2009、SLES 10
その他OS:OpenSolaris、FreeBSD、MacOS - JDK
Sun JAVA JDK 1.5.x、1.6.x(1.6.x推奨) - WebAPサーバ
JBoss 4.2.3(ADempiereに同包) - DBMS
PostgreSQL 8.1.x~8.4.x
PostgreSQL 9.x(ADempiere3.7より対応)
MySQL 5.x(ADempiere3.7より対応)
Oracle 10g、11g、11gR2
Oracle 10gXE、11gXE
クライアント
◆Swing版クライアントの場合
- OS
種類、バージョンを問わない - JRE
Sun Java JRE 1.5.x、1.6.x - ブラウザ
IE、FireFox、Google Chrome、Safariなど
◆Web版クライアントの場合
- OS
種類、バージョンを問わない - ブラウザ
FireFox、Google Chrome、Safariなど
日本ADempiereの会 推奨環境
サーバ
- OS
Linux(RedHat系):CentOS 6.2
32bit、64bit両方問題なく動作 - JDK
Sun JAVA JDK 1.6.x - DBMS
PostgreSQL 8.4.x
クライアント
◆Swing版クライアントの場合
- OS
種類、バージョンを問わない - JRE
Sun Java JRE 1.6.x - ブラウザ
IE、FireFox、Google Chrome、Safariなど
◆Web版クライアントの場合
- OS
種類、バージョンを問わない - ブラウザ
FireFox、Google Chrome、Safariなど(IE以外)
※バージョンによって異なりますので、詳細はお問い合わせください。
ADempiereの主な業務領域
主な業務領域は以下のとおりです。
- Enterprise Resource Planning (ERP) 統合業務管理
- Supply Chain Management (SCM) 企業間供給管理
- Customer Relationship Management (CRM) 顧客情報管理
- Financial Performance Analysis 財務成績分析
- Integrated Point of sale (POS) solution 販売時点情報管理
- Integrated Web Store ウェブ店舗
ADempiereの主な機能
主な機能は以下のとおりです。
機能 | 詳細 |
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取引先管理 | 仕入先、顧客(販売先)、従業員の3つを「取引先」として、登録・管理することができます。 各取引先の与信情報を、販売管理、購買管理の機能と連動して管理することができます。 |
購買管理 | 商品の見積、発注、仕入(受入)などを管理することができます。 発注や仕入の状態により在庫情報が自動で更新されます。 各データを完了状態にすると、仕訳データを送信することができます。 また、製品、取引先、日付等を条件にして売上高等のレポートを生成することもできます。 |
販売管理 | 商品の受注、在庫の予約(引当)、出荷、請求などの管理をすることができます。 購買管理と同様に、仕訳データの送信やレポートの生成ができます。 |
製品管理 | 材料を含む、取り扱っている製品を登録・管理することができます。 |
在庫管理 | 製品の受入による在庫の増加、出荷による在庫の減少などをシステムで管理することができます。 生産管理システム、購買管理システムと密接に関係しています。 |
財務会計 | 企業の経営活動の成果を記録、報告、分析する為の会計システムです。 財務諸表の作成も行います。すべての伝票は、リアルタイムに統合されています。 |
(画像)ADempiereの概要像[機能概要図1、2](出所:日本ADempiereの会
ADempiereの主な特徴
主な特徴は以下のとおりです。
ERPパッケージ(統合業務パッケージ) | ADempiereは、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)であり、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理、固定資産管理、人事給与管理、財務会計、といった必要な全ての業務機能を提供し、かつそれらの機能や情報(データ)を相互に連携します。そのため、既存の会計、人事、購買等の単機能の業務パッケージを利用する場合に発生する以下のような問題を解決します。 ・データの整合性が取れない ・月次決算など、経営指標の算出が遅れてしまい、経営判断に生かせない ・各システムが途切れていて、データの連携がされていない ・データの二重入力の手間がかかり無駄な作業が発生する |
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高機能 | ADempiereは、取引先管理、製品品目管理、購買管理、販売管理、在庫管理など、企業の業務を総合的に管理するための機能を持っています。 |
オープンソース | オープンソースとして公開されており、ライセンス費用がかからないためにソフトウェアコストを大幅に削減することができます。また、Linux、JBossAS、PostgreSQLなどのオープンソース・プラットフォーム上で稼動します。 |
マルチプラットフォーム | ADempiereは、サーバでは Red Hat Enterprise Linux、CentOS、FreeBSD、Microsoft Windowsなど、さまざまなOSプラットフォームに対応しています。クライアントでは、OSの種類を問わず、さまざまなブラウザの種類とバージョンに対応しています。 |
カスタマイズが容易 | 拡張性の高いフレームワークを採用しており、アドオン開発を簡単に行うことが可能です。 |
ウェブベースのユーザーインターフェイス | ZKというajaxフレームワークを使った、ブラウザからアクセスできるUI(ユーザーインターフェース)を利用することができます。 既存のJavaベースクライアントとほぼ同等の機能があります。 JavaベースクライアントとZK Web UIのどちらも、複数の人が同時にデータ入力などの作業することができます。 |
多数のファイル形式に対応 | LDAP、Active Directory、リレーショナルデータベース、CSVファイルといった様々な形式で管理されているID情報の一元管理が可能です | レポート出力 | ADempiereに登録したデータをレポートとして出力することができます。レポートにはADempiere独自のレポート機能とJasperReportsを使ったレポート機能があります。 JasperReportsを使ったレポート機能では、iReportsというGUIツールを使ってレポートのフォーマットを作成できます。 |
財務諸表の出力 | 記録した仕入、販売などのデータを基にして貸借対照表と損益計算書を出力することができます。 |
日本語対応 | ADempiereは日本語文字コードとしてEUC、Shift-JIS、UTF8に対応しているため、それぞれのシステムについて適切な文字コードを設定することで、氏名の漢字表記など正しく日本語を扱うことができます |
多言語、多通貨に対応 | ADempiereは、海外で広く利用されており、多言語、多通貨に対応しています。ログイン時に表示言語を選択することができ、通貨の変換レートを設定すれば、複数の通貨で表示を行うことができます。グローバル企業での利用にメリットがあります。 |
コスト効果 | ADempiereはライセンス費用がかからないため、商用製品に比べコストを削減することができます |
ADempiereと同様の機能を提供する商用製品
商用ソフトウェア製品では、SAP ERP、Oracle JD Edwards、Microsoft Dynamics、富士通 GLOVIA、SuperStreamが、ADempiereと同様の機能を提供しています。
ADempiereの位置付け
ADempiereのERPカテゴリにおける位置付けは以下のとおりです。
(画像)ERPカテゴリにおけるポジショニング(出所:日本ADempiereの会)
日本におけるADempiere関連団体の紹介
組織・団体の名称 | 日本ADempiereの会(JADG : Japan ADempiere Group) | ADempiere Japan Users Group(ADJUG) |
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コミュニティの概要 | ADempiereを国内マーケットで活用すべく、ユーザーニーズに基づいたローカライゼイション(日本語化と日本商習慣対応)作業と、技術者育成、プロモーション活動、導入支援活動などのERP導入実務・実践を通して、ADempiere普及を推進する団体です。 | 本家モジュール(英語版)を対象として、勉強会や、日本語ドキュメントの作成を中心に、Adempiereの普及促進に取り組んでいます。 |
現在の活動状況 | (1)コミュニティ参加企業や個人会員が参加する実例研究やスキル向上を目的とした月次定例セミナーの実施 (2)コミュニティサイトにけるオープンソースとしてのADempiere日本語版の開発と情報共有 (3)参加企業がADempiereビジネスを行うことの励行、支援 (4)2012年中にNPO法人格取得予定(現在は委員会制による団体活動を実施中) |
ADempiereの導入から基本的な操作までの内容を学ぶため、毎月勉強会を開催しています。 |
コミュニティの特徴 | ADempiereを単なるOSSとして捉えるのではなく、日本のERPパッケージ市場において商用ERPに対抗できる潜在能力と可能性を秘めた次世代のSIソリューションプラットフォームとして、情報収集・研究開発・導入支援活動が同会では定常的に行われています。(活動の実態として、非営利/営利を問わずコミュニティ事務局、会員企業、導入ユーザーが日常的にADempiereに携わっている) 会員企業の中にはADempiereをSI事業として実用化しているディストリビューター企業、エンドユーザー企業が数社含まれます。 |
ユーザー企業、IT企業、学校、公共団体、組織の規模の大小などを問わず、また、個人、会計士、税理士、研究者、学生など、広くADempiereに関心のあるメンバーが集まり、ADempiereに関する勉強や普及に向けた議論を行っています。 |
活動場所 | 参加企業内に事務局を設置して活動すると同時に、下記URLサイトでも参加者は活動を行なっています。 http://adempiere.or.jp/ |
以下のURLを参照ください。 http://www.adempiere.jp |
主な成果物 | ADempiere3.6.0 JADG版CommunityEdition一式 (2012年上期中に3.7.0版をリリース予定) |
http://sourceforge.jp/projects/adempiere/にて、勉強会での資料などを公開しています。 |
参加方法 | JADGは実務においてSI事業を推進するビジネスパートナーや高品質なパッケージとサービスを求めるエンドユーザ企業のクオリティ要求に応えるべく、会員制を採用しています。 参加者の要望に応じて、正会員、協賛会員、一般会員になることができます。 |
上記URLで告知される勉強会に、直接お申込ください。または、下記メールアドレスまでご連絡ください。 |
参加者/参加企業 | 正会員は約20名、協賛企業は約5社。 一般会員は約50名。 |
勉強会の参加者は、毎回20~30名程度。 |
問合せ窓口 | 日本ADempiereの会 事務局 事務局代表者 田口信宏 〒162-0814 東京都新宿区新小川町6-36 S&Sビル3F (株)ブライト・ビジネス・パートナーズ内 TEL : 03-6265-3177 Mail : contact@adempiere-jp.net(@を半角に置き換えてください) |
ADempiere Japan Users Group(ADJUG) 代表 八塚 MAIL : contact@adempiere.jp(@を半角に置き換えてください) |
ADempiereのロードマップ
製品ロードマップは以下のとおりです。(最新バージョンは、ADempiere 3.7.0(2012年6月現在最新)
■ADempiere 3.99.0
(目標)
・最新の、n層コアへの移行
・AJAXクライアント
・新しいレポートエンジン
・完全なデータベースの独立性
・セキュリティ強化
・パフォーマンス向上
・テストカバレッジ
リリース予定コンポーネント
(1)新しい永続化エンジン
(提案)
・JPAに準拠した永続化エンジンを使用するための、Hibernate EntityManagerまたはTopLink実装
(要件)
・DBの独立性(サポートされているDB、Hibernate EntityManager、TopLink)
・優れた持続性モデル
・標準仕様に基づくJPA
・強力なクエリ言語
・開発スピードのインパクト
・キャッシュ経由のパフォーマンスの向上
(2)ビジネス・ルール・エンジンの統合
(提案)
・Java標準JSR 223スクリプトAPIすなわちBSF&AOP
・スクリプト言語の使用でアプリケーションコンポーネントとの互換性が高まる
・永続クラスは、アプリケーション・ディクショナリ内にビジネス・ルールがあるかどうか検証するためのインスペクタを実装
・AfterSave、BeforeSave、AfterDelete、BeforeDeleteメソッドは、Inspectionクラスを使用して書き換えられる必要がある
(要件)
・ソースコードを変更せずに、かつオンラインでビジネスロジックを変更すること
・ビジネスルールがアプリケーション辞書にあるべき
(3)新しいレポートエンジン
(提案)
・Pentahoのレポートデザインウィザードを統合
・Pentahoのレポートデザイナを使用してレポートを設計し、カスタマイズ
(要件)
・使いやすいユーザー・インタフェース
・新しいレポートウィザード
・ドリルダウン&ドリルアクロス
・チャート
・複数フォーマット(HTML、PDF、OpenOffice)へエクスポート
・以前のビューを作成しないクエリ言語
(4)AJAXクライアントAJAX
(提案)
・クライアントがSOAPまたはJSONの技術でサーバーと通信するAJAX技術を使って新しいユーザーインターフェイスを作成したい
・多くのAJAXソリューションのレビュー後、我々は最高のオプションは、使用することだと確信している
・GWT Googleツールキット ウィジェットギャラリー デモ
・Echo2 デモ
(要件)
・直感的で使いやすく魅力的なユーザーインターフェイス
・クライアントは明るくあるべき
・ADに基づいて、画面を構築するためのエンジン
・ユーザーが求めているその情報を得ること
・単一、複数、そのミックスの方法で大量のデータをキャプチャ
・ユニバーサルクライアント(任意のインターネットブラウザ)
■ADempiere 4.0.0
(目標)
・3.9節で述べた目標のすべて
・ADempiere 4.xシリーズの最初の安定版リリース
・集中的な品質保証プロセス
ADempiereのサポート
NRIではお客様のご要望に応じて様々な支援ができるサービスをご用意しました。
詳細は下記ページをご確認ください。