CentOSの概要
CentOS(セントオーエス)とは、Red Hat Enterprise Linuxとの完全互換を目指した無償のLinuxディストリビューションです。
CentOSは、「Community Enterprise Operating System」(コミュニティベースで開発された、エンタープライズレベルのOS」)の略語と言われています。
CentOSは、Red Hat Enterprise Linuxの中の、無償で提供する上で制約となるライセンス(商標やパッケージ等の意匠、他の OSS とは異なる許諾条件など)を含まない形でリビルドされています。
したがって、CentOSは、無償でありながらRed Hat Enterprise Linuxとほぼ同等のアーキテクチャをサポートし、動作が非常に安定しているため、個人・企業を問わずさまざまなシステムのサーバOSとして幅広く使用されています。
近年では、ホスティングサービスなどの大規模な企業システムでもCentOSが採用される事例が増加し、CentOSの保守サポートを行うサービスベンダーも増えてきています。
CentOSをベースにしたLinux ディストリビューションも数多くあります。
■CentOSと、Red Hat Enterprise Linuxの違い

CentOS(セントオーエス)の最新バージョンは以下の通りです。(2020年5月現在)
CentOS 6 |
CentOS 7 |
CentOS 8 |
|
---|---|---|---|
最新バージョン |
6.10 |
7(2003) |
8(2004) |
CentOSのEOL(End of Lifetime)は下記のようになっています。
CentOS 6 |
CentOS 7 |
CentOS 8 |
|
---|---|---|---|
フルアップデート |
2017年 5月 |
2020年 Q4 |
2024年 5月 |
メンテナンスアップデート |
2020/11/30 |
2024/6/30 |
2029/5/31 |
CentOSは、Red Hat Enterprise Linuxのソースコードのリビルドによって提供されていますが、Red Hat社はCentOSのサポートを実施していません。
CentOSの特徴
CentOS(セントオーエス)は、次のような特長があります。
- ライセンス費用はゼロで、無料で使用できる(有償保守サポートを依頼する場合は別途費用がかかる)
- Red Hat Enterprise Linuxとほぼ同等の機能を持ち、さまざまな用途のサーバOSとして利用可能である
- 長期間の運用に耐えうる高い安定性と品質、セキュリティを備える
- 利用可能なハードウェアが多い
- サポート期間が長い
- CentOS Projectによるオープンで積極的な開発がされている
- オフィススイートやGPUドライバ、マルチメディアツール等をインストールすることにより、デスクトップOSとして用いることも可能
CentOSのライセンス
CentOS(セントオーエス)のライセンスは、GPLライセンスです。
GPLライセンスの正式名称は「GNU General Public License」です。ソフトウェアのコピーや配布、ソースコードの公開を原則とし、ソースコードを改変も認められています。
CentOS(セントオーエス)の有償サポートについて、お気軽にお問い合わせください。
CentOSの動作環境
前提となる動作環境は、以下のとおりです。
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | |||
x86(32ビット Pentium/AMD/VIA) | ○(※1) | ○ | × |
x86_64(AMD64/EM64T) | ○ | ○ | ○ |
ppc/ppc64(IBM Power、Mac) | × | ○ | ○ |
IA-32 | × | ○ | ○ |
ARMv7hi | × | ○ | ○ |
AArch64(arm64) | × | ○ | ○ |
CentOS 6
CentOS 7
CentOS 8
最大論理CPU(※2)(※3)
x86
32
該当せず
該当せず
x86_64
448/4096
768/5120
768/8192
※2 8(x86_64版)または64(その他のアーキテクチャ)のCPU数はlargesmpカーネルを使用する必要があります。
※3 論理CPUは、コア/ virtualCPUsに相当しますので、デュアルコア(非ハイパースレッド)CPUが2論理CPUとしてカウントされ、シングルハイパースレッディングCPUはCPU合計を求めるために2論理CPUとしてカウントされます。
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
最大メモリ | |||
x86 | 16GB | 該当せず | 該当せず |
x86_64 | 12TB/64TB | 12TB/64TB | 24TB/64TB |
ARM | 該当せず | 該当せず | 1.5TB/254TB |
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
ファイルシステム | |||
最大ファイルサイズ(ext3) | 2TB | 2TB | 2TB |
最大ファイルシステムサイズ(ext3) | 16TB | 16TB | 16TB |
最大ファイルサイズ(ext4) | 16TB | 16TB | 16TB |
最大ファイルシステムサイズ(ext4)(※4) | 16TB/1EB | 50TB/1EB | 50TB/1EB |
最大ブートLUNサイズ(BIOS) | 2TB | 2TB | 2TB |
最大ブートLUNサイズ(EFI) | 任意(※5) | 50TB | 8EB |
x86 プロセス単位最大仮想アドレススペース | 約3GB(※6) | 該当せず | 該当せず |
x86_64 プロセス単位最大仮想アドレススペース | 128TB | 128TB | 128TB |
※4 1EBはext4で通常サポートされていますが、CentOS6.3での更新のようなパーティションを操作可能にするext4ツールが必要なパッチとしてCentOSの上流にバックポートされていません。サードパーティ製のディストリビューションのe4fsprogsツールを使って作成されたパーティションを利用することが可能です。
※5 UEFIとGPTは、2TBブート以上のLUNサポートが必要です。こちらを参照ください。
※6 x86の"HUGEMEM"カーネルは、CentOS 6で提供されていません。
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
推奨最小要件 | |||
x86 | 128M CLI、512M GUI/論理CPU(※7) | 該当せず | 該当せず |
その他アーキテクチャ | 1GB | 1GB/logical CPU | 1.5GB/logical CPU |
最小ディスクスペース | 1G | 10GB | 10GB |
※7 もともとの6.0の最小ローエンド128Mは、TUIのインストールにも問題ないでしょう。CentOS6の6.1ポイントアップデートで始める際は、依存関係の解決は極めてRAMのメモリ消費量が多いです。
CentOS 6(※8) | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
KVM仮想化 | |||
ホストの最大コア数 | 160 | 該当せず | 該当せず |
ホスト最大メモリ | 2TB | 該当せず | 該当せず |
仮想化ゲストにおける最大vCPU数(x86/x86_64) | 160/160 | 該当せず | 該当せず |
仮想化ゲストにおける最大メモリ(x86/x86_64) | 2TB/2TB | 該当せず | 該当せず |
仮想化ゲストにおける最小メモリ(x86/x86_64) | 512MB/512MB(※9) | 該当せず | 該当せず |
※8 ブート可能なP2VおよびV2V ISOイメージは、6.3から提供されています。リリースノートを参照ください。
※9 テキストモードのみ推奨。グラフィカルモードは1GBが必要です。
CentOSの主な機能
主な機能は以下のとおりです。
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
カーネル | Linux 2.6.32 | Linux 3.10.0 | Linux 4.18 |
パッケージ管理 | RPM | RPM | RPM |
コンパイラ/ツールチェーン | GCC 4.4 | GCC 4.8.5 | GCC 8.2.1 |
言語サポート | 22 | 22 | TBD |
SELinux | ○ | ○ | ○ |
Ext3パフォーマンス拡張 | ○ | ○ | |
Bluetoothサポート | ○ | ○ | ○ |
ネイティブPOSIXスレッドライブラリ(NPTL) | ○ | ○ | ○ |
ハイパースレッディングスケジューラ | ○ | ○ | ○ |
IPv6のサポート | Ready Logo Phase 2 | Ready Logo Phase 2 | ○ |
V4 autofs | ○ | ○ | ○ |
LVM(logical volume manager) | LVM2 | LVM2 | LVM2 |
監査ログ | audit | audit | audit |
互換ライブラリ(ツールチェーン) | CentOS 4&CentOS 5 | CentOS 5&CentOS 6 | CentOS 6 &CentOS 7 |
LSBサポート | 4.0 | 4.1 | TBD |
NFS | ○ | ○ | ○ |
Webサーバ | Apache httpd 2.2.15 | Apache httpd 2.4.6 | Apache httpd 2.4.37 |
サーバーメッセージブロック(SMB) | Samba 3.5.x (オプション4.0.x) | Samba 4.1.x | Samba 4.9.x |
データベース | MySQL 5.1.x、PostgreSQL 8.4.x | MariaDB 5.5.x、PostgreSQl 9.2.x | MariaDB 10.3.x、PostgreSQL 9.6.x/10.6.x |
プログラミング言語 | php 5.3.3、python 2.6.6、perl 5.10.1 | php 5.4、python 2.7、 perl 5.16.3 | php 7.2、python 3.6.8、perl 5.24/5.26 |
デスクトップGUI | GNOME 2.28、KDE 4.3 | GNOME 3.22、 KDE 4.14 | GNOME 3.28 |
グラフィックス | X.org 7.4 | X.org 7.7 | Wayland 1.15 |
オフィススイート(※10) | Libreoffice 4.3.7.2(C6.3から)(※11) | Libreoffice 5.3.6.1 | Libreoffice 6.0.6.1 |
デフォルトブラウザ(※12) | Firefox 68 | Firefox 68 | Firefox 68 |
マルチメディア機能 | mp3(リポジトリ追加で) | mp3(リポジトリ追加で) | mp3(リポジトリ追加で) |
プラグ・アンド・プレイ | ○ | ○ | ○ |
※10 Suiteはライフサイクル中に更新されます。
※11 OpenOfficeは6.3で廃止されました。
※12 Suiteはライフサイクル中に更新されます。
CentOS 6 | CentOS 7 | CentOS 8 | |
---|---|---|---|
その他アイテム(CentOSと分離して入手可能) | |||
Cluster Suite | 該当せず(ベースOSに含まれる) | 該当せず(ベースOSに含まれる) | 該当せず(ベースOSに含まれる) |
グローバルファイルシステム | 該当せず(GFS2はベースOSに含まれる) | 該当せず(GFS2はベースOSに含まれる) | 該当せず(GFS2はベースOSに含まれる) |
インストールパッケージセット | ||
セット名 | 概要 | 内容 |
---|---|---|
Desktop | CentOSをデスクトップOSとして利用する場合 | クライアント管理ツール、ディレクトリ接続クライアント、インターネットブラウザ、オフィススイート、Xウィンドウシステム、グラフィカル管理ツール、フォント、リモート接続クライアント、GNOMEデスクトップ、ネットワークファイルシステムクライアント、デバックツール、印刷クライアント、サーバープラットフォームなど |
Minimal Desktop | 必要最小限のGUIデスクトップ環境 | Desktopの中で、インターネットブラウザ、オフィススイート、GNOMEデスクトップ、Xウィンドウシステム、日本語対応などが含まれていないもの |
Minimal | 最小構成 | クライアント管理ツールと日本語対応のみ |
Basic Server | サーバ構築用の基本機能 | Perlサポート、コンソールインターネットツールなど インターネットブラウザ、オフィススイートなどのデスクトップ関連や日本語対応が含まれていない |
Database Server | DBMS(MySQL、PostgreSQL)用サーバ機能 | パフォーマンスツール、システム管理ツール、MySQL/PostgreSQLデータベースサーバ&接続クライアント |
Web Server | Web Server用サーバ機能 | パフォーマンスツール、システム管理ツール、PHPサポート、TurboGearsアプリケーションフレームワーク、Webサーバ、Webサーブレットエンジン |
Virtual Host | Basic Server に仮想化機能が取り込まれている | パフォーマンスツール、システム管理ツール、ハードウェア監視ユーティリティ、仮想化プラットフォーム、仮想化クライアント |
Software Development Workstation | システム開発用環境、Desktop 環境に、開発ツールやフレームワークを取り込まれている | クライアント管理ツール、印刷クライアント、Emacs、TeXのサポート、グラフィックツール、技術文書、仮想化プラットフォーム、インターネットブラウザ、オフィススイートを除くデスクトップ機能、Eclipse、デスクトッププラットフォーム開発、開発ツールなど |

CentOSと同類のソフトウェア
商用ソフトウェア製品では、AIX、HP-UX、Red Hat Enterprise Linuxが同様の機能を提供しています。
CentOSのダウンロード
CentOSのサポート
- 現在、CentOSのサポートは提供していません。