バージョンアップ情報
OpenDMARC情報
OpenDMARCとは
OpenDMARC(Open Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)は、SPF(Sender Policy Framework)やDKIM(DomainKeys Identified Mail)といった既存の認証方式と連携し、メールの認証、レポート、およびポリシー適用をサポートするオープンソースのソフトウェアです。
OpenDMARCは、RFC7489(DMARC仕様)に準拠した実装を提供するオープンソースプロジェクトです。
DMARC仕様に基づいて動作し、DMARC仕様のアップデートやIETFの動向に応じて、適宜更新されています。
DMARCは2012年にYahoo!、Google、Microsoft、AOLなど大手企業によって提唱され、SPFとDKIMを統合し、認証失敗時の処理ポリシーを指定できる機能とレポート機能を追加しました。
OpenDMARCは、電子メールのセキュリティ向上を促進するためのオープンソースプロジェクトとして始まりました。
DMARCを多くの電子メールシステムに容易に導入可能としてDMARCの普及を促進し、メールセキュリティの標準化を推進することで、より安全なメールコミュニケーションを実現することにあります。
主な機能
ポリシーの適用
DMARC 認証に失敗したメールを受信者がどう扱うべきかを3 種類のポリシーの中からいずれかを選択することができます。
なりすまし防止の強化
送信ドメイン認証をより強固にし、ヘッダFrom のなりすましを防ぐことができます。
レポート生成
メールの認証結果について「DMARC レポート」を生成し、ドメイン所有者にフィードバックできます。これにより、メールシステムのセキュリティ状況を把握し、改善することができます。
柔軟な設定
さまざまなメールシステムや環境に合わせて、ログファイルの解析やポリシーの適用を柔軟にカスタマイズすることができます。
メリット・デメリット
メリット・必要性
- ブランド保護と信頼性向上
SPFとDKIMの検証結果に基づいて、なりすましメールを効率的に検出・ブロックすることで、自社のブランドを悪用したフィッシング攻撃やスパムメールなど、なりすましメールを効果的に防止することができます。
これにより企業のブランドイメージを保護し、顧客からの信頼を維持することができます。
- 電子メール配信率の改善
DMARC認証が成功したメールは、ISP(インターネットサービスプロバイダ)により受信者の受信ボックスに適切に配信される可能性が高くなります。
これにより、重要なビジネスメールが迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが低減され、メール配信率が向上します。
- 可視性の向上
DMARCレポートにより、ドメインに対する攻撃の詳細な情報を把握できます。
また、送信メールの認証状況と不正使用の試行に関する詳細な報告が行われるため、ドメイン所有者はメール送信に関する情報をリアルタイムで把握できます。
デメリット・注意点
- 誤検知の可能性
SPFやDKIMの検証結果に基づいてメールを判定するため、誤検知が発生する可能性があります。
誤検知によって、スパムと判断され、必要なメールが受信者に届かない場合があります。
- システム管理者への負荷
DNSレコード、メールサーバーの設定、ポリシーの定義など、複数の要素を調整する必要があるため、設定が複雑で設定ミスによる意図しない結果が発生する可能性があります。
また、生成されるレポートが膨大なため分析の時間と労力、専門的な知識やツールが必要となります。
- 環境維持課題
商用ツールと比較するとコストがかからないが、セットアップや運用には技術的なスキルが必要となります。
商用ツールが簡単で機能的に十分であれば、社内リソースとしての人件費や時間コストのオーバーヘッドが大きくなる可能性があります。
ユースケース
大量のメールを送受信する大企業におけるブランド保護や情報漏洩防止の観点から、OpenDMARCの導入が不可欠です。
また、金融機関やeコマース企業においては、顧客情報など高度なセキュリティ対策が求められるため、Open DMARCの機能は必須です。
メールシステムの管理者にとって、メールセキュリティを強化するための強力なツールとなります。
情報セキュリティ担当者やIT部門責任者にとっては、OpenDMARCを導入することで、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献でき、自社のITインフラの信頼性を高めることができます。
経営層にとっては、ブランド保護や顧客保護といった観点から、企業の経営戦略に必要とされます。
動作環境
動作させるには以下のソフトウェアが必要です。
- Linux/Unix系システム
RHEL, CentOS, AlmaLinux, Rocky Linux, Debian, Ubuntu, FreeBSD, OpenBSD など
- メールサーバー(MTA:Mail Transfer Agent)
Postfix, Sendmail, Exim
- 必要ライブラリ
libmilter, OpenSSL, libopendkim
- DNSサーバーへのアクセス
SPF,DKIM, DMARCの認証にDNSクエリが必要
- ログ管理ツール
rsyslog, journalctl
参考情報
商用ツール例
- Valimail(開発元:Valimail、販売:CYBERNET)
DMARC導入を簡素化し、自動化した認証ソリューションの提供。AIで送信者認証の設定や監視を効率的に行うことが可能。
- OnDMARC(開発元:Red Sift、販売:ソリトンシステムズ)
ユーザーフレンドリーでわかりやすいインターフェースにより中小からエンタープライズまで対応可能なDMARC管理ツール。
- Proofpoint EFD(Proofpoint Email Fraud Defense)(開発元:Proofpoint、販売:NRIセキュア等)
大規模組織向けの包括的なメールセキュリティ・ソリューションとサポートの提供。
オープンソース年間サポートサービス
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