Keycloakメジャーバージョンアップ情報~コンテナファーストに進化~ NRI OSSソリューションマガジン 2022.3.25発行 Vol.183
1.Keycloakメジャーバージョンアップ情報~コンテナファーストに進化~
Keycloakはオープンソースのシングルサインオン・認証・認可を実現するソフトウェアです。
紹介ページをご用意しておりますのでご覧ください。
◆Keycloak概要&バージョンアップ情報
https://openstandia.jp/oss_info/keycloak
先日、2月11日に Keycloak 17.0.0 がリリースされました。
このバージョンでKeycloakは、Quarkusというフレームワークをベースに生まれ変わり、起動時間の圧倒的な短縮、メモリ使用量の大幅な削減、設定のシンプル化を実現しました。
近年、クラウド・サーバーレスやコンテナベースのアプリケーション開発が普及してきましたが、Java製のアプリケーションは、リソース使用量の多さや起動時間の長さから、他の言語で作られたアプリケーションと比較すると相対的に不向きとされてきました。
KeycloakはWildFlyというJavaアプリケーションサーバ上で動作するアプリケーションであるため、例に漏れず、起動に時間がかかり、リソース使用量はそれなりに大きかったです。
とはいえもちろんKeycloakはコンテナ環境で動作させることは可能であり、弊社実績も多数あります。
しかし例えばオートスケールのようなコンテナ環境ならではの運用には、難しさがありました。
そこへ登場したのが、Javaをクラウド・サーバーレス・コンテナ環境に最適化することを目指すフレームワーク、Quarkusです。
Keycloakはバージョン17.0.0よりQuarkusベースがデフォルトとなりました。
私も早速試してみましたが、以前のバージョンでは起動に1分15秒かかったところ、17.0.0はわずか15秒で起動し、とても驚きました。
これであれば、オートスケールの運用もかなりやりやすくなったと思います。
またWildFlyに関する設定は複雑なXMLで実施する必要がありましたが、Quarkusではシンプルなプロパティ形式のファイルになっており、初学者でもすんなり理解しやすくなっています。
さらにこの設定は(開発モードでは)再起動不要で反映されるため、開発効率もとても良いです。
このように日々改善されているKeycloakから今後も目が離せません。
なお、Quarkus化に伴い、従来と設定方法や動作仕様が変更になっているポイントが複数あります。
弊社では早速検証に取りかかり、ノウハウの蓄積を行っております。
Keycloakのサポートは是非OpenStandiaにお任せください!
◆Keycloakサポートサービスのご相談は以下からお問合せください。
https://openstandia.jp/site/contact.html
2.OSS紹介ページ 今月のアップデート(新規:1件、更新:2件)
(新規)
Cortex (https://openstandia.jp/oss_info/cortex/)
(更新)
Elasticsearch (https://openstandia.jp/oss_info/elasticsearch/)
Zabbix (https://openstandia.jp/oss_info/zabbix/)
3.OSS紹介ページ 今月のアクセスランキングTOP10
オープンソース情報ページ「OpenStandia OSS紹介」のアクセスTOP10をご紹介
→ 1位 (1位) Keycloak (https://openstandia.jp/oss_info/keycloak/)
→ 2位 (2位) MySQL (https://openstandia.jp/oss_info/mysql/)
↑ 3位 (4位) Apache HTTP Server (https://openstandia.jp/oss_info/apache/)
↑ 4位 (5位) Apache Tomcat (https://openstandia.jp/oss_info/tomcat/)
↑ 5位 (7位) MongoDB (https://openstandia.jp/oss_info/mongodb/)
↓ 6位 (3位) Apache Log4j (https://openstandia.jp/oss_info/apachelog4j/)
↓ 7位 (6位) OpenShift (https://openstandia.jp/oss_info/openshift/)
↑ 8位 (9位) PostgreSQL (https://openstandia.jp/oss_info/postgresql/)
↓ 9位 (8位) Fluentd (https://openstandia.jp/oss_info/fluentd/)
↑ 10位 (ランク外) Ruby on Rails (https://openstandia.jp/oss_info/rubyonrails/)
※( )内は前月の順位
◆OSS総合情報ページ「OpenStandia OSS紹介」はこちら
https://openstandia.jp/oss_info/
◆OpenStandiaサポート対象OSS一覧
https://openstandia.jp/services/#supportlist
◆OpenStandiaオープンソース年間サポートサービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/
◆OpenStandiaオープンソース導入サービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/
◆OpenStandia各種サービスのご相談は以下からお問合せください。
https://openstandia.jp/site/contact.html
4.編集後記
最後までご覧いただきありがとうございます。
野村総合研究所の前原です。
今回の編集後記では、プログラミング言語のメンテナンスについてお話します。
多くのプログラミング言語は、実は様々なOSSと同じように、コミュニティによって仕様の改善がされています。
例えば、有名な言語の一つであるJavaScriptは「TC39(※1)」という技術コミュニティによって仕様策定されています。
※1:https://tc39.es/
(外部サイトにリンクします)
このコミュニティのもとには、JavaScriptに関する様々な改善依頼が届きます。
それらをコミュニティの主要メンバーが審議し、改善の実施可否を決定していきます。
最近では3月9日に、GilTayar氏やMicrosoft社のDaniel Rosenwasser氏らによって「Types as Comments(型をコメントとして扱う)」という新たな仕様が提案されました。(※2)
※2:https://github.com/giltayar/proposal-types-as-comments
(外部サイトにリンクします)
この仕様が正式に採用されると、VSCode等を用いてコードを書くときは型チェックでき、コード実行時は型を無視することができます。
Daniel Rosenwasser氏からの公式発表によると、3月末のTC39の会議でこの提案について議論が行われます。(※3)
※3:https://devblogs.microsoft.com/typescript/a-proposal-for-type-syntax-in-javascript/
(外部サイトにリンクします)
提案が受理された場合は、実際にJavaScriptの文法としてこの機能が取り込まれます。
より良い言語にするために、多くの人々が現在進行形で言語を改良しているなんて、素敵ですよね。
今後も、「NRI OSSソリューションマガジン」をどうぞよろしくお願いいたします。