NRI OSSソリューションマガジン  2021.06.30発行 Vol.174

===================================
※配信停止方法や配信対象等については、このメールの末尾をご覧ください。


───────────────────────────────────
◆◇ NRI OSSソリューションマガジン  2021.06.30発行   Vol.174
───────────────────────────────────
目次
【注目】量子プログラミングを支えるOSSの紹介
【新規2件/更新7件】OSS最新アップデート
【TOP10】OSS紹介サイトアクセスランキング

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     量子プログラミングを支えるOSSの紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

近年、従来のコンピュータでは解けない大規模な計算を解くことができると
されている量子コンピュータの注目度が高まってきており、度々ニュース等
でも取り上げられているのを耳にする方も多くなってきているかと思います。

実際のところビジネス適用が可能なレベルに達しているかというと、まだまだ
限定的な適用にとどまるというのが実情なのですがそれでもなお注目度が
日々高まっている要因として、量子コンピュータのハードウェアが充実しつつ
ある点だけでなく、量子コンピュータを活用したソフトウェアの開発が
進んできているという点もあると考えられます。

そこで今回は量子コンピュータを活用したソフトウェアの開発、
所謂「量子プログラミング」を支えるOSSについていくつか
ご紹介させていただきます。
なお、量子コンピュータの動作原理やマシンの種類、活用対象などについての
説明は他に譲るものといたしますので、予めご了承ください。

【1】 Qiskit
Qiskitは超電導回路によるゲート型量子コンピュータ「IBM Q」を
開発しているIBM社が開発主体となっている量子コンピュータ向け
フレームワークです。Python環境で利用することができます。
IonQ社が開発しているイオントラップによるゲート型量子コンピュータ
「IonQ」にも対応しているほか、量子プログラミング関連としては
世界初の資格試験も今年から行われているなど、
急速に広がりを見せているOSSとなります。
特徴としては、ドキュメントやチュートリアルが充実している他、
可視化ライブラリが充実しているという点も挙げられます。
筆者としては、現状最もデファクトスタンダードになる可能性が高い
フレームワークではないかと見ています。

【2】 Cirq
CirqはGoogle社が開発しているゲート型量子コンピュータ向けの
フレームワークです。こちらもPython環境で利用ができます。
Google独自の量子コンピュータハードウェアの開発責任者がGoogleを退職した
という背景から、Cirqの開発状況も注目されていたのですが、今年の6月に
Google Cloud上で先述のIonQが利用可能になったことにあわせて、CirqがIonQ
に対応したということもあり、まだまだ今後の機能開発に期待がかかります。

【3】Q#
Q#はMicrosoft社が開発しているゲート型量子コンピュータ向けの
フレームワークです。Q#は.NET環境とPython環境に対応しているのですが、
.NET環境で組んだ演算のシミュレートをPythonから呼び出せるということに
とどまるようなので、実質.NET環境で利用するものと捉えて
良いと考えています。
筆者の私見も多分に入っていることは承知しておりますが、.NET環境前提と
いうこともあるのかQiskitと比べるとなかなか存在感を示せていないのが
現状と思われます。一方、Microsoft社が提供する量子コンピューティング
サービスのAzure Quantum上での開発言語として採用されていることから、
決して無視することはできないOSSです。

【4】PennyLane
PennyLaneはXanaduという光子を利用したゲート型量子コンピュータを開発
しているカナダのベンチャー企業が開発を主導している量子機械学習
ライブラリです。Python環境で使うことができます。
量子機械学習におけるアルゴリズムや回路を組み立てる際に有効な
OSSとなっております。
そもそも「量子機械学習とは?」という点について、言葉の定義は明確
ではない点もあるのですが、重ね合わせ状態や確率的な挙動を扱うことが
できる量子コンピュータの特徴を活用した機械学習全般のことを指します。
PennyLaneは機械学習フレームワークであるKerasをベースとしており、
Kerasと同じような使い勝手で量子機械学習を実行することができます。

【5】Blueqat
BlueqatはAWS社とのパートナーシップも締結している日本のBlueqat社
(旧名 MDR社)が開発したゲート型量子コンピュータ向けのフレームワーク
です。世界的な利用状況は筆者としてわかりかねる部分があるのですが、
日本語情報が豊富で日本人が概要を捉える際には非常に有用なOSSかと
思われます。記述形式が非常に単純な点が特徴です。

【6】Qulacs
Qulacsは量子化学計算を専門としている日本のQunaSys社が開発した
量子回路シミュレータです。QiskitやCirqなどにもシミュレータを内蔵
しているのですが、Qulacsの特徴はシミュレーションが非常に高速である
という点になります。
QunaSys社はAWS社、Microsoft社とパートナーシップを締結しています。

【7】Ocean SDK
Ocean SDKは量子アニーリングマシンを開発しているD-Wave社によって開発
されているSDKです。上記6つのOSSは全て量子ゲート型マシンを前提と
していましたが、Ocean SDKは量子アニーリングマシンを扱うためのSDKです。
Python環境で使うことができます。
ここ最近はアニーリング方式の活用よりもゲート方式のほうが主流になりつつ
ある中で今後どれだけ開発が進むかは未知数ですが、アニーリング方式が
まだ半歩リードを保っているという状況かと思いますので、アニーリング方式
全体の動向とあわせて引き続きウォッチする価値があるかと思います。

今のところ国内外で注目を集めているOSSは以上の通りなのですが、
量子コンピュータ関連技術は群雄割拠な状況ですので、これらは世の中にある
量子プログラミング関連のOSSのごく一部にすぎません。
そのため、今回取り上げたものがこれから飛躍する可能性もありますし、
それ以外のものがより注目を集める可能性もあり、
今後も目が離せない領域です。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
◆OpenStandiaサポート対象OSS一覧
https://openstandia.jp/services/support_oss.html

◆OpenStandiaオープンソース年間サポートサービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/support_services.html

◆OpenStandiaオープンソース導入サービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/intro_services.html

◆OpenStandia各種サービスのご相談はこちら
https://openstandia.jp/site/contact.html

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
OSS紹介ページ 今月のアップデート(新規:2件、更新:7件)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
 (新規)
Flask (https://openstandia.jp/oss_info/flask/)
Spring Session (https://openstandia.jp/oss_info/spring-session/)

 (更新)
Apache Cordova (https://openstandia.jp/oss_info/cordova/)
Debian GNU/Linux (https://openstandia.jp/oss_info/debian/)
Hibernate (https://openstandia.jp/oss_info/hibernate/)
HikariCP (https://openstandia.jp/oss_info/hikaricp/)
Jetty (https://openstandia.jp/oss_info/jetty/)
jQuery (https://openstandia.jp/oss_info/jquery/)
TensorFlow (https://openstandia.jp/oss_info/tensorflow/)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今月のOSS紹介サイト アクセスランキング TOP10
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
オープンソース情報サイト「OpenStandia OSS紹介サイト」のアクセスTOP10を紹介

→	1位 (1位)	MySQL	(https://openstandia.jp/oss_info/mysql/)
↑	2位 (6位)	Keycloak	(https://openstandia.jp/oss_info/keycloak/)
→	3位 (3位)	PostgreSQL	(https://openstandia.jp/oss_info/postgresql/)
→	4位 (4位)	Apache HTTP Server	(https://openstandia.jp/oss_info/apache/)
→	5位 (5位)	OpenShift	(https://openstandia.jp/oss_info/openshift/)
↓	6位 (2位)	Apache Tomcat	(https://openstandia.jp/oss_info/tomcat/)
↑	7位 (ランク外)	Fluentd	(https://openstandia.jp/oss_info/fluentd/)
↑	8位 (ランク外)	Apache Kafka	(https://openstandia.jp/oss_info/apachekafka/)
↓	9位 (7位)	MongoDB	(https://openstandia.jp/oss_info/mongodb/)
↓	10位 (9位)	Ubuntu	(https://openstandia.jp/oss_info/ubuntu/)

※( )内は前月の順位

◆OSS総合情報サイトはこちら
https://openstandia.jp/oss_info/

◆OpenStandiaサポート対象OSS一覧
https://openstandia.jp/services/support_oss.html

◆OpenStandiaオープンソース年間サポートサービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/support_services.html

◆OpenStandiaオープンソース導入サービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/intro_services.html

◆OpenStandia各種サービスのご相談は以下からお問合せください。
https://openstandia.jp/site/contact.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
野村総合研究所の磯島です。

今回はローコードプラットフォームについて紹介します。
ローコードプラットフォームとは、ドラッグ&ドロップといった画面操作で
アプリケーションを開発できるプラットフォームです。
主な特長は下記二点です。

・既存のコンポーネントを活用することで素早くアプリ開発可能
・直感的な操作で開発できるため熟練者でなくても開発可能

有名なツールとしては、kintone、Salesforce、OutSystemsなどが
挙げられます。

ローコードプラットフォームは昔からありましたが、システム開発のスピード
が求められたり、IT人材が不足したり、といったDXを推進する上での課題に
対応するための技術として近年注目が増しています。
高速開発することで現場ユーザの意見を素早く回収したり、業務フローを熟知
する現場ユーザが直接開発したりすることで、アプリケーションの価値向上も
見込めます。

ローコード、と聞くと近い技術としてノーコードプラットフォームを
思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
ノーコードプラットフォームはその名の通りコーディングによるカスタマイズ
は想定していないため、あらかじめ準備してある機能のみで実現できる
定型的なシステム開発に向いています。

それに対してローコードプラットフォームでは必要に応じてコーディング
により拡張ができるため、システム開発の自由度が高くなります。
そのため基幹システムなど、ノーコードでは開発できないような幅広い
システム開発に適用できる可能性を秘めています。

デジタル技術がビジネス価値に直結するDX時代、現場の人間が自らシステムを
作るのが当たり前の時代がいつか来るかもしれませんね。

今後も、「NRI OSSソリューションマガジン」を
どうぞよろしくお願いいたします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
NRI OpenStandiaのWebページからセミナー申込やお問い合わせ頂いたお客様、
NRIから委託されたOpenStandia営業と名刺交換をさせて頂いたお客様、
NRIが主催、共催、協賛するセミナー、イベントにご参加して頂いたお客様に
送付しております。
◆商品・サービスに関するお問合せはこちら
https://openstandia.jp/site/contact.html
※注意事項は以下のURLをご確認ください。
https://openstandia.jp/site/mailmagazine.html
※配信先メールアドレス変更はこちら
https://openstandia.jp/mm/mmchange.html
※配信停止はこちら
https://openstandia.jp/mm/mmstop.html
OSSソリューションマガジンに関するお問合せ:magazine-ossc-ext@nri.co.jp
発信元:株式会社野村総合研究所
https://openstandia.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                
  • OpenStandiaサポート対象オープンソース|50種類以上のOSSのサポートをご提供します。
  • 人気midPoint
  • 人気Keycloak
  • 注目MongoDB
  • ForgeRock AM(OpenAM)
  • ForgeRock IDM(OpenIDM)
  • MongoDB
  • Postfix
  • Apache HTTP Server
  • ZABBIX
  • PostgreSQL
  • Apache Struts
  • Apache Kafka
  • Apache Hadoop
  • Apache Spark
  • Spring Framework
  • Apache Tomcat
  • Solr
  • iBATIS
  • DRBD
  • MySQL
  • JBoss
  • Ruby on Rails
  • Jaspersoft
  • OpenLDAP
  • Apache log4j
  • Apache Subversion
  • ForgeRock DS(OpenDJ)
  • Pacemaker
  • Samba
  • Red Hat Enterprise Linux
  • Nginx
  • BIND
  • Dovecot
  • Pentaho
  • sendmail
  • Courier-IMAP
  • ForgeRock DS(OpenDJ)
  • Heartbeat
  • Hibernate
  • Hinemos
  • MyBatis
  • MySQL Cluster
  • Apache Axis2
  • Squid
  • OpenSSO