2008.05.13発行 Vol.10 ─────────────────────────────────── ◆◇ NRI OSSソリューションマガジン ─────────────────────────────────── こんにちは。株式会社野村総合研究所オープンソースソリューションセンター (OSSC)の私市(きさいち)です。 天気や気温が安定しない日が続いてますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 今月は連載コラム第2回と、さらにゲストコラムがもう1本!!なんと、お二人 ともLinuxWorld Expo/Tokyo 2008で講演されるそうです。 OpenStandiaチーム もLinuxWorldに出展します。お二人の講演を聴いた後、OpenStandiaブースにも お立ち寄りくださいね。 ※本メールは、NRI OSSCが主催・共催するセミナーに参加いただいお客様や、 NRI OSSCメンバーと名刺交換をさせていただいたお客様、過去にNRI-OSSCに お問い合わせいただいたお客様、OSSユーザコミュニティサイトの会員様に 配信しています。注意事項・配信停止方法は以下のURLをご確認ください。 https://openstandia.jp/site/mailmagazine.html ■目次 1.事例紹介「リッチクライアントとWebブラウザ、2つのチャネルを実現」 2.コラム オープンソースの検索エンジンLucene/Solrとは? 第2回 3.コラム サーバー仮想化とオープンソース 4.最新イベント情報! ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.事例紹介「リッチクライアントとWebブラウザ、2つのチャネルを実現」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 今回の事例は、サービス業F社様の予約システムです。 予約は、店舗とインターネット経由と、2つのチャネルから行える必要が ありました。また、店舗システムは画面のレスポンスが重要であったため、 リッチクライアントの採用が決まっていました。 1つのシステムで、どのように2つのチャネルからの予約を可能にしたの か、その方法とは… 詳細は、以下のWebサイトでご覧ください。 https://openstandia.jp/case_study/case_study_5.html ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.コラム オープンソースの検索エンジンLucene/Solrとは? 第2回 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 株式会社 ロンウイット 関口 宏司 こんにちは。(株)ロンウイットの関口です。先月から本コラム欄の執筆を担当 しています。 先月に引き続き、弊社が各種支援サービスを提供しているOSSの 検索エンジンLucene(ルシーン)とSolr(ソーラー)をご紹介していきます。 ◇ Luceneとは? ◇ LuceneはApache Software Foundationで開発されているJavaで書かれたオープ ンソースの全文検索エンジンライブラリです。 「ライブラリ」ですのでJAR ファイルですべての機能が提供されています。現在の安定版のJARファイルは 先週リリースされたばかりのlucene-core-2.3.2.jarです。 Luceneはライブラリですから、Javaのプログラムを実際に書かないことには 使えるアプリケーションになりません。入門者にとってはこのあたりが最初の 「壁」となってしまい、同じOSSの検索エンジンシステムであるNamazuなどと 比べるととっつきやすさに難があるようです。しかし、オブジェクト指向言語 Javaで書かれたライブラリならではの拡張性や柔軟性に優れており、できあい の検索エンジンシステムでは実現が困難なアプリケーション要件にも比較的容 易に対応することが可能です。 ところで先日あるシステムインテグレータのSEの方にこのLuceneの拡張性と 柔軟性のお話をしたところ、「おそらくLuceneは他の検索エンジンと比較して 拡張性や柔軟性に優れているのでしょう。しかし、われわれはそれをどのよう に比較/評価していいのかわかりません。」というコメントを頂戴しました。 たしかに顧客の検索機能に対する要件は「コンテンツのフリーワード検索がで きること」というようにざっくりしたものが少なくありません。この場合、ど の検索エンジンを選択しようと問題がないように感じてしまいます。しかしア プリケーションが徐々に完成に近づくにつれ、検索機能に対する要望は最初の 要件があいまいであった分だけ余計に、より詳細により具体的になっていきま す。そんな時、ツールの拡張性や柔軟性は重要な要素になってくるのです。 この拡張性や柔軟性について詳しくは、今後のコラムでLuceneの機能を紹介し つつ触れていきたいと思います。 ◇ Solrとは? ◇ SolrはLuceneを使って書かれた検索エンジンサーバで、Luceneと同じくApache Software Foundationで開発されています。SolrはTomcatなどのサーブレット コンテナにWARファイルをデプロイして使用する検索エンジンサーバです。 「サーバ」ですので「ライブラリ」であるLuceneほど使い方は難しくありませ ん。現在の安定版はapache-solr-1.2.0.warです。 なおSolrに関しては今月末に東京ビックサイトで開催されるLinuxWorld Expo/ Tokyo 2008にて、Solrのユーザである(株)リクルート様が事例の紹介セミナー を行います: http://www.idg.co.jp/expo/lw/lw2008/details/index.html#a25 私も後半少しの時間を頂戴し、Solrのアーキテクチャや特徴などをお話しする 予定です。興味のある方はぜひご参加ください。 ※次号の第3回もお楽しみに。 ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.コラム サーバー仮想化とオープンソース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 日本仮想化技術株式会社 宮原 徹 □今なぜサーバー仮想化か サーバー仮想化は、増えすぎたサーバーを集約したり、メンテナンス性を高め る技術として、急速に注目されるようになってきました。 サーバー仮想化とは、1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを動作させる 技術であり、必要なサーバー数に対して用意しなければならない物理サーバー の台数を少なくすることができます。特に最近のCPUのマルチコア化や、メモリ の大容量化がサーバー仮想化の後押しをしています。 サーバー仮想化の技術自体、汎用機などではパーティションと呼ばれて古くか ら使われていましたが、いわゆるIAサーバーで利用できるようになったことで 、より利用範囲が広がったと言ってよいでしょう。 従来では、IAサーバーの仮想化といえば「VMware」が代名詞でしたが、サーバ ー用途の「VMware ESX Server」のライセンス費用が高額だったこともあり、 利用する(できる)ユーザーは限られていました。しかしオープンソースの 「Xen」が実用的になってきたことで、一気に利用可能性が高まってきたこと も、現在のサーバー仮想化への高い関心の背景となっています。 □Xenの特長 Xenの特長は、GPLで開発されているオープンソースソフトウェアでありながら、 商用製品であるVMware ESX Server(以後、VMware)などと比べて遜色のない 機能、性能を備えているということです。 Xenは「ハイパーバイザー型」と呼ばれる種類の仮想化ソフトウェアであり、 仮想マシンを動作させることに特化している点ではVMwareと同じです。 Xenは主にLinuxを動作させることを想定して開発が進められてきましたが、 最近ではWindowsも動作させることができるようになったことで、機能的にも VMwareと直接比較できるようになってきました。 特に「ライブマイグレーション」という機能は、動作している仮想マシンを 停止せず、動作している物理マシンを変更することができる、サーバー仮想化 ならではの機能です。ライブマイグレーションを利用することで、サーバーの 物理的なメンテナンス(壊れやすいメモリや電源などの交換など)などもシス テムを停止することなく行えるので、システム管理者注目の機能といえるでし ょう。 性能面でも、得手不得手がありますが、肩を並べる程度の性能を実現できるよ うになってきており、実用性は十分といえるかと思います。 □Xenの課題は? では、Xenが爆発的に普及するかというと、いくつか課題があります。 もっとも大きい課題が、操作性です。Xen自体は、ユーザーインターフェースを 持っていません。現在のところ、Xenを操作するためのインターフェースはコマ ンドラインが主であり、GUIを使ってすべての要求させる管理用ソフトウェアが 存在していません。たとえばVMwareでは「VirtualCenter」というソフトウェア が存在しており、それに相当するソリューションが求められています。 また、サポートの問題も残っています。商用Linuxディストリビューションが Xenを正式サポートするようになりましたが、そのサポート内容についてはまだ 未知数のところがあります。システムのインフラとなる仮想化技術を安心して 使えるようになるには、サポート体制と実績が必要でしょう。このあたりは、 ちょうどLinuxのソリューションが出始めた頃と似ているように思います。 大きくはこの2つの課題がありますが、昨今の電力事情やCO2削減の要請、メン テナンスコストの抑制などを考えるとサーバー仮想化の導入は避けて通れない でしょう。その中でもXenは、コストパフォーマンスの高いサーバー仮想化の ソリューションの本命といえます。 今では簡単にXenを試すことができるようになりましたので、是非インストール して触れてみてください。 □LinuxWorld Expo/Tokyo 2008 セミナーのご案内 5月28日(水)に「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」にてXenによるサーバー仮想 化のセミナーを開催いたします。 1つは事例紹介のセミナー、もう1つは技術者向けのテクニカルなセミナーと なっておりますので、是非ともご参加ください。 B-13 12:00~12:45 Linux+Xenによるサーバ仮想化構築事例のご紹介 F-16 15:00~15:45 今日から始めるXen仮想化入門 ▽お申し込みはこちら▽ http://www.idg.co.jp/expo/lw/lw2008/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.最新イベント情報! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ ┌────────────────────────────────── │~ 次世代ネットビジネスを勝ち抜くマーケティング戦略 特別無料セミナー │ 2008/5/23(金)東京ミッドタウン富士フイルム本社にて開催決定! └────────────────────────────────── ネット通販ビジネスでお役に立つソリューションや有益なヒントを紹介し、毎 回好評をいただいているマーケティング戦略セミナー。 今回はEC事業におけるマーケティングの新潮流、効果的な SEMを実践するため のアクセスログ分析、コールセンターを活用したダイレクトマーケティング等 の新コンテンツを追加しました。是非ご期待ください! OSSを活用した次世代ネット通販システム「OMMERCE(オマース)」の特徴や、 メリット、費用対効果等も紹介いたします。 日時:2008年5月23日(金)14:00~17:00(受付開始 13:30~) 場所:東京ミッドタウン富士フイルム本社セミナールーム 定員:50名 費用:無料(完全事前登録制) 主催:富士フイルム、エフツーエム、野村総合研究所、トランスコスモス セミナー詳細、お申し込みはホームページをご覧ください。 https://openstandia.jp/event/ommerce.html ┌────────────────────────────────── │ 5/28(水)~5/30(金) LinuxWorld Expo/Tokyo 2008に出展! │ NRI-OSSCブース単独出展! └────────────────────────────────── 今年は、「NRI」としてではなく、「NRI-OSSC」としてLinuxWorld Expo/Tokyo に初めて出展することになりました。ブースでは、ご来場の皆様に楽しんでい ただけるような催事を企画しています。日頃のOSSに関するお悩みや課題、技術 に関するご質問などもこの機会にお気軽にどうぞ。また、下記日程で講演も行 います。皆様のご来場をお待ちしております! ◆5月28日(水) C-16 15:00~15:45(200名会場) 『今、旬の10事例を一挙公開!~MySQL/PostgreSQLのクラスター事例~』 OSSのデータベースとして目覚ましい発展を遂げているMySQLやPostgreSQLを、 業務システムに導入する事例が増えています。 本セッションでは、信頼性の 高いシステム基盤を構築するポイントとなるクラスター構成について、各製品 でどのように機能強化されたか、その構成をどう実現するかなど、NRIが手が けた最新事例をもとに紹介いたします。 ◆5月30日(金) B-36 15:00~15:45 『今、旬の10事例を一挙公開!~JBossを活用した、ミッションクリティカ ル事例~ 野村総合研究所では、これまで多くのミッションクリティカルなシステムに JBossを導入してきました。本セッションでは、JBoss製品群を採用した決め手 や導入メリット、JBoss技術動向などを事例で詳しく紹介します。また、約100 プロジェクトへのオープンソース導入ノウハウをベースに、貴社のオープンソ ース導入プロジェクトを支援するオープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia」について紹介いたします。 講演者:株式会社野村総合研究所 オープンソースソリューションセンター長 寺田 雄一 ┌────────────────────────────────── │OSS最新技術動向を解説! デル、インテル、NRI、OSSTech主催 │「オープンソース技術解説セミナー」 2008/06/5(木)開催 └────────────────────────────────── 毎回エンジニアの方々に高い関心を寄せていただいている4社共催の「オープン ソース技術解説セミナー」を開催いたします。 今回はレッドハット株式会社様をゲストスピーカーにお招きし、Redhat最新技術 動向をご紹介いただきます。ほかにもクラスタをはじめとしたOSS最新技術情報 が満載のセミナーです。 ◆プログラム 『デル ブレードサーバのご紹介とインテル・サーバープラットフォームテクノ ロジー』 『ここまでできる!フルオープンソースによるクラスター構成、3事例紹介』 『FLOSS構築 現場の常識:やってはいけないサーバ構築』 『Red Hatを100倍使い倒す ~Advanced Platformとクラスタテクノロジー~』 日時:2008年6月5日(木)13:30~16:00(受付開始 13:00) 場所:野村総合研究所 丸の内総合センター 9F 費用:無料(完全事前登録制) 主催:オープンソース・ソリューション・テクノロジ株式会社、株式会社野村 総合研究所、インテル株式会社、デル株式会社 イベント詳細、お申し込みは、下記ホームページをご覧ください。 https://openstandia.jp/event/event20080512.html OpenStandia年間サポートサービスのご相談は、以下からお問い合わせください。 https://openstandia.jp/site/contact.html ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 最後までご覧いただき、どうもありがとうございました。 NRI-OSSCの某メンバーが、先日レーシック(レーザーによる近視矯正手術)を 受けてきたとのこと。強度の近視+乱視の彼が、「朝、目覚めて眼鏡なしで物 が見える!」と感動して話してました。最近は日本でも手術をする眼科が増え てきて、だいぶ身近になってきたようですね。私もやりたいと思っていたので すが、術後2週間位はなんとアイメイクを控えなくてはいけないそうです。私に とっては、これが最大のハードルですね。 次回もどうぞよろしくお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※注意事項・配信停止方法は以下のURLをご確認ください。 https://openstandia.jp/site/mailmagazine.html 商品・サービスに関するお問い合わせ:ossc@nri.co.jp OSSソリューションマガジンに関するお問い合わせ:magazine-ossc-ext@nri.co.jp 発信元:株式会社野村総合研究所オープンソースソリューションセンター https://openstandia.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━