【好評企画】ゲームエンジン「Godot」のご紹介第2弾!VR/AR技術を支えるレンダリングエンジンとは? NRI OSSソリューションマガジン 2021.3.31発行 Vol.171
1.ゲームエンジン「Godot」のご紹介第2弾!VR/AR技術を支えるレンダリングエンジンとは?
OpenStandiaのメールマガジンをご購読いただき誠にありがとうございます。
今回は前号の「OSSソリューションマガジン Vol.170」に引き続きオープンソースのゲームエンジン「Godot」のご紹介をいたします。
OSSソリューションマガジン Vol.170
https://openstandia.jp/mm/mm20210224.html
Godotは昨年12月にFacebook Reality Labsから資金援助を受けることを発表し、これによりVR/AR対応を加速させると宣言しました。
そのうちの一つがVR/ARの標準仕様であるOpenXRのサポートであり、次回のメジャーアップデートでのサポートを目指して開発が進められています。
さて、Godotではもう一つVR/ARを支える機能の追加が予定されています。
それがレンダリングエンジン「Vulkan」のサポートになります。
レンダリングとは、物体の形状や質感、色合い、光の反射や散乱具合など
様々な情報をもとに画像や映像を描画することを指します。
VR空間や、AR空間もレンダリングエンジンにより最終的な映像が描画されます。
近年、VR/ARの利用は多岐に渡っておりドローンにカメラを取り付けて撮影した映像にリアルタイムで情報を合成、ゴルフの球の弾道をリアルタイムで可視化するなどのスポーツ観戦、AR空間でドッジボールのように波動を打ち合う「HADO」と呼ばれるeスポーツなどが例として挙げられます。
Godotを用いた開発事例としてはVRエクササイズがあります。
VRエクササイズ(VRWorkout) ※外部リンク
https://vrworkout.at
これらの例からも分かるように、レンダリングエンジンにはよりリアルタイムで、より複雑で大規模なデータを処理できる性能が求められています。
Vulkanは、従来広く用いられてきたレンダリングエンジンのOpenGLと比較すると下記のような点で性能向上が図られています。
1.CPU負荷の軽減
2.マルチスレッド性能の向上(複数のCPUを活用)
3.GPUリソースを最大限に活用(GPU負荷は増加)
4.デバイスの消費電力削減(~15%程度)
これらの性能向上により、映像を描画する際の遅延やカクつきが改善されます。バッテリーが長持ちするというおまけも付いています。
VulkanとOpenGLの比較動画はネット上にたくさん公開されていますので興味のある方は是非ご自身の目で確かめてみてください!
Godotでは、今回のメジャーアップデートでVulkanのサポートを予定していますが、UnityやUnreal Engineなどの代表的なゲームエンジンでは既にVulkanがサポートされています。
そのため、これによりGodotが性能面で優位になるわけではありません。
しかしながら、Godotにはオープンソースであるという利点があります。
ソースコードへのアクセスが可能であり、コミュニティサポートを受けることもできます。
また、機能追加のリクエストや、さらには自分自身で開発を行うことも可能です。
Godotはゲームエンジンの中でも比較的習得が容易であると
言われているため、皆さんもぜひ、GodotでVR/AR開発の第一歩を
踏み出してみてはいかがでしょうか。
2.OSS紹介ページ 今月のアップデート(新規:3件、更新:7件)
(新規)
Harbor (https://openstandia.jp/oss_info/harbor/)
runC (https://openstandia.jp/oss_info/runc/)
Vitess (https://openstandia.jp/oss_info/vitess/)
(更新)
Dovecot (https://openstandia.jp/oss_info/dovecot/)
Ethereum (https://openstandia.jp/oss_info/ethereum/)
H2O (https://openstandia.jp/oss_info/h2o/)
Jenkins (https://openstandia.jp/oss_info/jenkins/)
Liferay (https://openstandia.jp/oss_info/liferay/)
MongoDB (https://openstandia.jp/oss_info/mongodb/)
Node.js (https://openstandia.jp/oss_info/nodejs/)
3.OSS紹介ページ 今月のアクセスランキングTOP10
オープンソース情報ページ「OpenStandia OSS紹介」のアクセスTOP10をご紹介
→ 1位 (1位) MySQL (https://openstandia.jp/oss_info/mysql/)
↑ 2位 (4位) Apache Tomcat (https://openstandia.jp/oss_info/tomcat/)
→ 3位 (3位) PostgreSQL (https://openstandia.jp/oss_info/postgresql/)
↓ 4位 (2位) Apache HTTP Server (https://openstandia.jp/oss_info/apache/)
↑ 5位 (6位) CentOS (https://openstandia.jp/oss_info/centos/)
↑ 6位 (10位) Ubuntu (https://openstandia.jp/oss_info/ubuntu/)
↑ 7位 (8位) Squid (https://openstandia.jp/oss_info/squid/)
↓ 8位 (5位) PHP (https://openstandia.jp/oss_info/php/)
↑ 9位 (ランク外) OpenShift (https://openstandia.jp/oss_info/openshift/)
↓ 10位 (7位) Ruby on Rails (https://openstandia.jp/oss_info/rubyonrails/)
※( )内は前月の順位
◆OSS総合情報ページ「OpenStandia OSS紹介」はこちら
https://openstandia.jp/oss_info/
◆OpenStandiaサポート対象OSS一覧
https://openstandia.jp/services/#supportlist
◆OpenStandiaオープンソース年間サポートサービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/
◆OpenStandiaオープンソース導入サービスのご紹介
https://openstandia.jp/services/
◆OpenStandia各種サービスのご相談は以下からお問合せください。
https://openstandia.jp/site/contact.html
4.編集後記
最後までご覧いただきありがとうございます。
野村総合研究所の前原です。
ここ数年、AWSをはじめとした様々なクラウドベンダー製品をシステムに採用するケースが格段に増加しました。
これに伴い、クラウド起因の障害に備えてシステムを設計することが求められています。
そこで、米AWS社は2021年3月15日(現地時間)から「AWS Fault Injection Simulator(FIS)」という障害発生時の挙動をシミュレーションできるサービスを提供開始しました。
https://aws.amazon.com/jp/fis/
※外部リンク
このシミュレーション機能を用いることで、AWS上で稼働しているアプリケーションの耐障害性を確認することができます。
AWSで一般的に使われることの多いAmazon EC2、Amazon ECS、Amazon EKS、Amazon RDSでのアクションには既に対応しており、この先さらにシミュレーションできる内容が増えていく予定となっております。
AWSをお使いの方は、万が一の障害に備えてFISの利用を是非ご検討ください。
今後も、「NRI OSSソリューションマガジン」をどうぞよろしくお願いいたします。